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ミトスター・ユベリーン  作者: カズナダ
第4章 激突
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番外編 崩壊の前触れ

 ズナホ海軍基地沖合い15km洋上 汎用護衛艦『しらぬい』・・・。


「ターゲットマーク確認。主砲、撃ちー方始め。」


 地上の特警隊からレーザーで指示された目標に向け、榴弾が撃ち込まれた。


 榴弾は一発も外す事は無く、停泊中の30隻の戦列艦を全て撃沈した。


「新たな目標、敵海軍基地施設。」


 しらぬいの次なる目標は『ズナホ海軍基地』の兵舎と防御施設。これを完全に破壊し、ヴァルサル率いるザスパーの突破口を形成する。


 ズナホ海軍基地司令室・・・。

「装甲戦列艦『ローグフリート』以下30隻、撃沈されました!」


「必要最低限の人員だけを残していたが、全滅かぁ・・・。」


 停泊中の艦隊はアストラン島周辺の制海権の確保と万が一の反乱軍に対する艦砲射撃を兼ねていた。しかし、しらぬいに撃沈された今、それらの役目は果たせない。


 スリンガーの元に各所から報告が流れ込んでくる。


「砲撃が止みません!敵の位置も、正体も不明!!」


「砲台が全て破壊されました!」


「兵舎のほとんどが破壊させ、火災も発生!火の手が弾薬集積所に-」


 ドガアアァァァンン


「報告します!弾薬集積所が爆発しました!!」


 報告されたのは『弾薬集積所の爆発』だけであったが、爆発は二回あったがスリンガー達には重複して聞こえなかった。


「報告します!正門が破られ、反乱軍が流れ込んできます!!」


「なんだとっ!?」


 これまでの報告には冷静に対処したスリンガーも反乱軍の決起にはきずかなかった。


「進めーーっ!!」


 ヴァルサルに率いられた解放軍には、ザスパーのメンバー400人に加え、統治に不満と持つ現地住民3000人と、更に陸軍1200人が参戦、総勢4600人がズナホ海軍基地に流れ込んだ。


 それを近くの高地で見下ろしていた特警隊は、


「独立戦争ってこんな感じなんですね。」


「『圧制としく他民族からの解放』、その心意気だけが彼らを動かしている、故に危険だ。」


 一つのことでしか団結することが出来ない組織は、いずれ内部から崩壊し内戦になる。そして、勝者が圧制を敷けば・・・。負の連鎖となる。


「ボルドアス軍、降伏します。」


「一応成功したか・・・。」


 アストラン共和国独立戦争

ボルドアス帝国

 戦死:1500

 捕虜:3500

 艦隊:全滅


アストラン共和国

 戦死:900


 かくして、アストラン王国の独立は果たされた。指導者のヴァルサルは、新生アストラン共和国の初代首相となった。


 そして、朝になり廃材だらけの港湾の外に戦列艦に匹敵する位の巨艦を持つ一隻の船が現れた。


「あれが、ボルドアスの艦隊を葬った・・・。」


「最新鋭護衛艦『しらぬい』です。」


 護衛艦しらぬいは、アストラン共和国の人々にとって『独立の象徴』として崇め奉られる事になる。


 アストラン共和国独立の報はすぐさま、タンタルス大陸全土に伝わった。噂としてという形では有ったが。

 しかし、それだけでも次の行動を起こすには充分であった。


「提督、よろしいですね?」


「今しか好機が無い。やれ。」


 サンケルクの海軍基地で、水兵3万による大規模なクーデターが発生。その指導者は、ゼーレフォン沖海戦で日本の捕虜となっていたデュリアンであった。


 サンケルクを制圧したクーデター軍は『バロダイレ共和国』の建国を宣言しボルドアス帝国に宣戦布告し、帝都ボルドロイゼンに向け進軍を開始した。


 ボルドアス帝国の海軍戦力はこれにより完全に消失した。また、陸軍の大半はジュッシュ公国に釘付けとなっていた。


 今のボルドアスにアストラン共和国の独立阻止はおろか、バロダイレ共和国のクーデター軍の鎮圧も容易ではなくなった。

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