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ミトスター・ユベリーン  作者: カズナダ
第4章 激突
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決戦 ラブングル街道3

 ゼーベルムートを包囲したボルドアス軍は総勢50万。更にブルフ平原に30万の後詰がいた。


 対する日本・ジュッシュ連合軍は、自衛隊1万とジュッシュ軍40万。


ゼーベルムート攻防戦 布陣

 ノースストリート

 ・連合軍:自衛隊5千 ジュッシュ軍24万

 ・ボルドアス軍:30万


 ウエストストリート

 ・連合軍:自衛隊3千 ジュッシュ軍15万

 ・ボルドアス軍:20万


 自衛隊がハインドの存在を早期にジュッシュ軍に伝えた為、ジュッシュ軍の損害は皆無であった。しかし、劣勢に変わりは無く、大通りには即席のバリケードを設置し何とか踏み止まっている状態であった。


 ボルドアス軍も路地からバリケードの裏側に回り込もうとするが、自衛隊2千、ジュッシュ軍1万がそれを許さない。


 だが・・・。


「7番路地のジュッシュ軍、突破されました。」


「爆発を確認しました。恐らくロシアの歩兵部隊です。」


「くそったれが!急行し、突破口を塞ぐんだ!」


 ロシア軍に正面きって戦えるのは、この世界には自衛隊と在日米軍の二つだけだ。奇襲さえ成功すればジュッシュ軍でも戦えないことは無いが、アフガニスタンやチェチェンのゲリラに痛い目に合わされただけに、奇襲に対する備えは尋常ではなく、仕掛けたクレー騎士団は尽く弾き返さされていた。


「クローディアさん状況は?」


「敵は7番路地を突破後、ウエストストリートのバリケードの裏側に出ようとしています。」


 ウエストストリートに続く路地・・・。

「このまま行けばバリケードの裏に出るな。」


「一網打尽だな。ヴズリュート(前へ)-」


 神宮寺率いる特戦群が割り込む。


「させるかーーーっ!!!」


 室内に押し込まれたものの、ロシア軍は体勢を立て直し特戦群と戦闘になる。


 両者とも所持しているナイフのほかに室内に在る椅子や鍋、食器とあらゆる物と、自軍の近接戦闘術を駆使して戦う。


 日本人は体格で勝るロシア人に対し力技では敵わない。だが俊敏さと数で勝る連携で互角に渡り合う。


 特戦群が屋内でロシア軍と戦っている間にも、大通りの攻防戦が続いていたが、ジュッシュ軍に安易な突撃を止めさせ、バリケード越しの射撃に徹していた事と迫撃砲の支援砲撃で、キルレシオは1対15であった。


 ボルドアスはこの状況を打破する為、離脱したハインドを再び差し向けた。


「撃てーっ!薙ぎ倒せーーっ!!」


 バリケードにはガンポートが開けられ、そこから軽機関銃で撃ち掛ける。裏ではマガジンへの給弾とマスケット銃の装填が行われ、更に後方、公城の門前では迫撃砲が砲身が真っ赤になるまで打ち続けていたが・・・。


「ハインドせっきーーーーん!!」


 高所の見張りからハインドの接近が知らされた。いくら対地ロケットが無くても、固定武器のYakB-12.7 4銃身ガトリング式重機関銃の破壊力は即席のバリケードなど意図も簡単に打ち砕ける。


「退避しろーーっ!!」


 バリケードを放棄し、屋内に隠れるが・・・。


 バボゴォォォン


 爆発音が響く。その発生元は、それまで逃げの一手しか打てなかった相手、ハインドであった。


「墜落する・・・?」


 自衛隊員は、それまで脅威であったハインドが、枝先から千切れ堕ちる木の葉のように、力なく堕ちていく姿が信じられなかった。


 そして、ハインドを叩き落した張本人がゼーベルムートに現れた。


「第7師団だ・・・!第7師団が来たぞーーっ!!」


 87式自走高射機関砲が市街地に突入。ノース・ウエストの各大通りに陣取り、35mm機関砲の水平射撃でボルドアス兵を一掃した。


 第7師団の到着と時を同じくして、特戦群とロシア軍の室内戦に終止符が打たれた。


「はぁ。はぁ。」


 特戦群は10名のうち3名が戦死、ロシア軍も6名のうち2名が戦死し残りが捕虜となった。


「神宮寺殿、大丈夫ですか!?」


 神宮寺の左脇腹にナイフが深々と突き刺さり戦闘の激しさを物語っている。


「なんの、この・・・程度・・・。」


 意識が朦朧としている事が傍から見てもよくわかる。直ぐに担架に乗せられ野戦病院に運ばれる。


「鎌田陸将、遅くなってしまい申し訳有りません。」


「秋山陸将、戦いが終わった後だったら化けて出るところでしたが、良くぞ間に合ってくれました。」


 第7師団が加わったり、ハインドを失ったことで、戦況は一気に連合軍有利に傾く。


「全戦車連隊に告ぐ、反撃開始!敵をブルフ平原より叩き出せーっ!!」

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