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ミトスター・ユベリーン  作者: カズナダ
序章
5/74

日本の初陣

 ベルテクス艦隊


「夜を徹してしまいましたが、搭載は70%完了。このペースなら昼過ぎの出発も可能です。」


「皆よく頑張った。後で皆にはたらふく酒と肉を振る舞ってやる!」


 いくら厳しい訓練を乗り越えて来た精兵とは言え徹夜の作業はやはり堪えたようだ。作業に従事した者達全員に疲労の色が見えていた。

 だが、帝国のために尽くすものには相応の報酬を与える。ベルテクスもヴァルサル程に部下からだけでなく軍上層部からの信頼が非常に厚い人物であった。


「おお!流石ベルテクス提督!」


「ハッハッハッハア」


 新大陸を手に入れられる可能性、そして海軍の最高司令官への道のりが着実に近付いてくるのを実感し、上機嫌になるベルテクス提督であったが・・・。


 バッゴォォォォォン


 ロプリエース号が爆発四散した。


「何だ!?!?一体何が起きたのだ!?!?」


 動揺するのも無理はない。彼の出世街道は一瞬にして、目の前で爆ぜたのだから。

 その様子は浜の陸戦隊からもよく確認できた。


「まさか大砲!?」


 蛮族が大砲をもっているはずがないと高を括っていたヴァルサルも激しく動揺する。


「周囲を探せ!フリゲートを吹き飛ばすほどの大砲、そう簡単には動かせまい。」


 だがすぐに冷静さを取り戻し兵に指示を出すが、どれだけ探しても「大砲」の「た」の字すら見つからない状況に焦りが募る。

 陸戦隊が血眼で探す一方、艦隊を第二の悲劇が襲おうとしていた。


「南から何か向かって来る!」


 水夫がそういうと皆が一斉に南を向く。


 それは、パタパタと羽音を出しながら恐ろしいスピードで近づいてくる、空飛ぶ箱のようなものであった。


「ハチドリ1、目標捕捉。射撃開始!」


 陸上自衛隊の対戦車ヘリコプター「AH-1Sコブラ」は残る六隻の帆船に対して20㎜ガトリング砲を使用し粉砕した。


「艦隊全滅しました!ベルテクス提督の安否は不明!」


 安否不明・・・。甲板諸共戦列艦が木っ端微塵に砕け散る様を、始まりから終わりまで見ていたヴァルサルは直感で察した。ベルテクス提督は戦死したと。

 そして、撤退する手段がなくなったが、まだ家屋から引っ張り出して来た家具で組んだ方陣が残っていた。


「全員、方陣内に入れ!」


 こうなれば徹底抗戦だとはかりに兵士は方陣に身を隠し、銃を構えた。

 そして・・・。


「箱だ!箱がこっちに突進してくる!」


「訳解らん報告をするな!だいだい箱が動く訳が・・・、・・・!?」


 ヴァルサルは意味不明な報告の意図を探ろうと、方陣から顔を出した。そこで見た光景はまさしく、長い筒のついた箱がこっちにに向かって来ていた。


 陸上自衛隊第1師団と陸上総隊、SATは町に散らばっていた敵兵を排除し、浜に居る敵主力を距離200mで包囲した。


「浜を占領している武装集団に告ぐ、直ちに武器を捨て投降せよ。繰り返す-」


 戦車を等間隔に配置しその間から89式小銃やMP5の銃口を敵に向け、降伏を勧告した。


「奴ら、どうして我々と同じ言語を話せるのだ!?」


 初めて上陸した土地の住民が、帝国民と同じ言葉を使っている、かつて帝国が支配していたのか、だがそんな記録は残されていない。ヴァルサルは混乱の極みに達した。


「隊長、奴ら我々に対し「降伏しろ」と。」


 降伏の言葉を聞き我に返る。


「降伏!?ふざけんな!降伏するぐらいなら死を選ぶわ!!」


 ヴァルサル以下全将兵が同じ考えであった。

 そして、下令する。


「撃てぇえ!」


 パパパパパパパンッ!


 第4陸戦隊は最後の抵抗としておよそ六千発の銃弾を放った。

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