表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミトスター・ユベリーン  作者: カズナダ
第4章 激突
49/74

決戦 ラブングル街道1

 翌朝・・・。

 ラカヌデンにてロシア軍の狙撃者と遭遇し、偵察隊10名が射殺された事もあって自衛隊の緊張が一気に高まる。


「AK-47がボルドアスに渡って無いと思うか?」


「現物に触れていたとすれば、複製の可能性は大かと。」


 AK-47は簡単な工作機械でも(品質は劣るにせよ)製造でき、工業力が低い国々や非国家主体の非合法組織(犯罪組織やテロ組織)でも容易に数を揃えることができる。


「80万人分揃えることは難しくても、前線に少なからず行き渡っていると思います。」


「軍需工場を全て潰す必要が出てきたな。」


 AK-47が大量に配備されればいくら自衛隊といえど苦戦は免れない。


 さらに、偵察隊を襲ったSVDや、対戦車兵器の『RPG-7』までもがボルドアスに渡っている可能性もある。一刻も早く、量産される前に降伏させなければならない。


「敵影確認!!」


 警戒班が叫ぶ。


「総員戦闘配置ー!!」


 塹壕及びトーチカに入り、89式、M4、MINIMI、M2を突き出す。


 視線の先に見えるボルドアス兵は、およそ3万。


 パッパパパパパパパパパッパパパ


 いきなり撃ってきた。


 だが、距離が離れているのと、塹壕の前に積み上げた土嚢が銃弾を受け止めたので被弾する事は無かっ

た。


「先に撃ってきたな・・・。」


 被弾しなかったとしても、先制攻撃を受ければ・・・。


「正当防衛射撃!」


 反撃しなければならない。


 ダダダダダダダーダダダダダダーーーダダダダダダダダ


 まさしく銃弾の豪雨。密集隊形のボルドアス兵に防げるわけがなく、壊走した。


「脅しだったのか?」


「独断専行の可能性も・・・。」


 塹壕を突破するには、坑道を掘って爆破するか、航空機で爆撃するか、戦車で踏み潰すか、毒ガスを散布するかであった。しかし、ボルドアスに航空機や戦車の概念は無い、坑道を掘るにもかなりの時間が掛かる。毒ガスでも精製するしたり、運搬する技術をボルドアスが持っている可能性は極めて低い。


「敵襲ー!」


 ひと時の間を置かずボルドアス軍が現れた。


「1万、4万いや10万!」


 第一波に触発されたか、今度は雄たけびを上げ、マスケットを乱射しながら突っ込んでくる。


「機関銃掃射!」


 再び銃弾の豪雨が襲い掛かるが・・・。


「再装填!」


 リロード時間にわずかな隙が生じる。この間に一気に距離を詰めてくる。だが、鉄条網がその役割を果

たし、ボルドアス軍は距離800mの地点で立ち往生していた。


「畳み掛けるぞ。迫撃砲撃て!」


 後方の砲撃陣地から前線に向け『81mm迫撃砲L16』『120mm迫撃砲RT』が砲撃開始。


 しかし、ボルドアスの人海戦術を止められない。


「航空支援を要請しろ!」


 ゼーベルムート郊外の仮設空港に待機していた『AH-1Sコブラ』と『AH-64Dアパッチ・ロングボウ』が対地兵装で離陸、到着まで30分と掛からんが、それまでは普通科と野戦特科で抑えなければならない。


 ラカヌデンの森 ボルドアス軍司令部・・・。

「報告します!敵の陣は堅固で我が軍の損害は増える一方です!」


「砲兵に攻撃を指示しろ。それと例のやつらを出せ。」


「よろしいのですか?」


「自ら『参戦する』と言って来たのだ。ここで役に立たなければ処刑よ。」


 この決戦に、ガムランは既存の大砲に加え、100門にも及ぶカノン砲も揃えていた。


 ブルフ平原・・・。

「再装填!」


「・・・おいっ!何人倒した?」


「数えてられるかんなもん!!」


 トーチカには最低一丁のM2重機関銃と500丁のMINIMI軽機関銃の弾幕で確実に戦果を重ねていったが、10万以上の兵士よる人海戦術で弾薬の消耗が著しい。


 そして、遠くの平原と森の境に大砲が出現した。


「牽引砲補足!距離2500!」


「迫撃砲、攻撃できるか!?」


「<待て!調整する!>」


 そんな時間は無い、砲兵は既に点火しようとしていた。


 塹壕に身を隠そうとしたそのとき・・・。


 シュゥゥウン ボゴォォン


 AH-1Sの『TOW対戦車ミサイル』が命中。間一髪であった。


「騎兵隊の到着だー!!」


 コブラとアパッチが飛来した事で、戦況は自衛隊有利に傾くかに思われた。


 AH-1S機内・・・。

「普通科の連中に一つ貸しだな?」


「高く付ける気でし- っ!!左、熱源感知!!」


「何っ!?」


 AS-1Sに迫る熱源の正体は・・・。


「ミサ・・・イル?」


 ソ連製の短距離対空ミサイル『R-60』だった。


 回避行動も取れぬままミサイルを胴体に受けたコブラは墜落。


 ミサイルを放った母体は・・・。


「ハインドだーーっ!!」


 その巨大な機体を自衛隊に堂々と見せつけた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ