ラカヌデン遭遇戦
ラカヌデンの森 ボルドアス軍野営地付近・・・。
決戦に際し、自衛隊は偵察隊を潜入させ戦力を測ろうとしていた。
しかし、前回の反省からか小規模の塊が至る所に点在し、なかなか全容が見えてこない。
「G-13とF-9に3000人規模の部隊を確認。」
「A-14とC-11も同様です。」
偵察長佐々木以下十数人で偵察するにはラカヌデンの森は広すぎた。
「もう少しで時間だ。引き上げるぞ。」
「待ってください。まだ4班が帰ってきてません。」
「何処で道草食ってやがる?3分この場で待機だ。それ以上は待てん。」
その時・・・。
「-!?」
顔に液体が付着する。
手で拭き取ったその正体は・・・。
「・・・血?」
飛んで来たであろう方向を見る。隊員一人が直立不動で立っているが・・・。
「っ!?」
突如、うつ伏せに倒れこむ。佐々木は起こそうと顔を見た。
「なっ!?」
その隊員は見事なまでに、眉間を打ち抜かれていた。
「スナイパー、-」
声を出した佐々木も狙撃された。
「伏せろーっ!ふせろーっ!!」
周囲の隊員は直ぐに腹這いになり身を隠す。
だが、遅れた者から順に狙撃され、佐々木を含めた4名が即死した。
「本部!こちら斥候!スナイパーより攻撃、銃声なし、4名被弾した!送れーっ!!」
自衛隊作戦本部・・・。
「偵察隊が狙撃を受け既に4名が被弾。銃声がしないとのことでサプレッサーを装着しているものと。」
「厄介だな・・・。」
「発見後即座に反撃させます。」
「・・・しかたないか。」
鎌田は人員の安否を心配し反撃命令を出したが・・・。
「できればスナイパーの正体を探っていただきたい。」
神宮寺はスナイパーの正体は何かを考え確認を依頼した。
ラカヌデン 偵察隊集合地点・・・。
「反撃命令来ましたーっ!」
「反撃って!?何処に居るのか分からないんだぞ!!」
目に見えない敵を相手に身動きが取れずにいたが、ある隊員が佐々木の遺体を検分する。
「(銃弾は・・・額からはいって・・・首の裏に)木の上に居ます!」
顔を持ち上げ見渡す。数多くある木の中に葉の間から光を放つ物を発見する。
それは、月明かりに反射するスコープレンズであった。
「スナイパー発見っ!射撃開始!!」
拳銃弾、小銃弾の雨が、偵察隊を苦しめた狙撃者に降り注ぎ・・・。
ドサッ
狙撃者は落下した。
「確認しろ。」
死亡したは良いものの隊員が最も驚いたのは狙撃者が持っていた銃であった。
ボルドアスのマスケット銃などと言う、自衛隊員から見た骨董品とは訳が違った。
「SVD・・・、ドラグノフ、セミオートマチックライフル!」
それは、ソ連時代に正式採用され、今でも現役で配備されているロシア軍の主力狙撃銃であった。
この瞬間、大陸に派遣された全自衛隊員が確信を持った。
最近、北方領土で見られたロシア軍の不可解な行動の意味を・・・。
「ロシア軍が、ボルドアスに味方している!」