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ミトスター・ユベリーン  作者: カズナダ
第4章 激突
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決戦前夜

 三日後・・・。

 防衛線の構築は大方完了し、厚さ1mのコンクリートのトーチカが六つ、その間は幅3m、深さ1,5mの塹壕で連絡され、前方300mに六重螺旋鉄条網を東西3kmに渡り設置されていた。


「日本軍は土に隠れて攻撃するのだな。」


 ホルステ、ルフト、リオネンと共に、神宮寺は陣地の視察を行っていた。


「数で不利なら兵と武器の質で、足らぬのなら地形、天候、あらゆる物を利用して戦います。」


「防衛戦は日本の方が長けているようです。あの『鉄の草|(鉄条網)』にしても、騎馬で突破は無理で

しょう。」


「歩兵もあそこで立ち往生している間に蜂の巣にするって魂胆か?」


 自衛隊は発足時から専守防衛を掲げ、防衛戦のプロフェッショナルであった。その他にも、ジュッシュ

軍がこの戦いから得られるものは多い。


「たいちょーーお!」


 軽装甲機動車に乗った部下が現れた。


 敬礼を交わし報告を聞く。


「輸送艦隊が到着、ゼーレフォンに第1師団・第12旅団、南の海岸に第7師団が上陸中です。ヘリ部隊も仮

設空港に集結中です。」


「間に合ったな。出迎えに行くぞ!」


「はっ!」


 ゼーレフォン・・・。

「各班毎に点呼を取れ!」


 第1師団・第12旅団合わせて約1万が上陸した。ちなみに、第1師団の戦車隊は第7師団と共に南の海岸

に向かっていた。


「第12旅団異常なし。」「第1師団異常なし。」


 部隊の総指揮は鎌田が担っていた。


「トラックに分乗し、公都ゼーベルムートに向かう。」


 ゼーベルムートに向かう車列の中に、診断を終えたばかりのクローディアの姿も有った。


 南の海岸・・・。

 秋山陸将指揮下の機甲部隊が上陸、ゼーベルムートを目指し、土煙を巻き上げていた。


 しかし、重量50tも有る90式戦車が主力なだけに、道を慎重に選んで進まなければならず、移動速度は非常に遅い。


「この先は湿地帯です。身動きできなく可能性が。」


「迂回するしかないか・・・。このままでは戦闘が終わった頃に着くのではないか?」


 わざわざ派遣された意味が無くなるが、無論機甲師団が出ないに超した事はない。


 この頃にもボルドアス帝国は総司令官ガムラン公爵の下に、

  兵士:80万

  騎兵:15万

  大砲:1万

 がラカヌデンの森25km北に集結、この戦いでジュッシュ公国を滅ぼすには尋常でない数であった。


「ガムラン様、準備が整いました。」


「そうか。」


 戦意高揚のため全兵士の前でガムランは堂々と言い放つ。


「千五百年続く偉大なる帝国に対し、長きに渡り抵抗を続けた小国ジュッシュと、対局を見定めぬ愚かなる新興国日本は、あろうことか帝国の王女で在らせられるリーエンフィール=ボルドアン殿下を誘拐するという暴挙に出た。

 ここに集いし兵士諸君は、この暴挙を決して許さず、また帝国の正義の鉄槌を下さんと思いと一つにしていると信じている。

 これから起きる戦いは王女をお助けすると共に、建国以来の悲願であるタンタルス大陸の統一を成すための決戦である。

 いざ!進撃の時だぁああっ!!」


「「「「おおおおおぉぉぉぉぉぉーーー!!!!!」」」」


 『リーエンフィールが攫われた』などと言う事はまったくの嘘で、ギル=ランシンド王国の間者が流し

たものであった。


 それでも結果が全てと言うガムランにとっては戦いを起こすには充分すぎた。


 ボルドアス軍はゆっくりと南下、ブルフ平原の手前まで進出。


 日本・ジュッシュ連合軍も防衛戦の構えで布陣。


 この戦争の勝敗を決定付ける最終決戦が始まる。

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