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ミトスター・ユベリーン  作者: カズナダ
第4章 激突
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交渉

 ボルドアス帝国 帝都ボルドロイゼン

 先日、ボルドアスの使者から宣戦布告とも取れる内容の羊皮紙を受け取った西村であったが、使者は最後に『以後の話はボルドロイゼンに来てから』と言っていた。つまり交渉次第では、本格的な武力衝突を回避できる。西村はその可能性に賭けていた。


 万が一の事態に神宮時等四名の特戦群を供回りに付け、高機動車で移動した。


「・・・!!あの鉄馬車だ!!」


 門番が叫ぶと数十人の兵士が銃口を向けてきた。


 神宮寺はその遥か手前で停車した。


「随分警戒されていますね?」


「コイツであの町の中爆走しましたからね。」


 だが、神宮寺は違和感を覚える。自分達を敵と認識している様に見えているが、銃口だけ向けて撃って

くる感じが全く無い。


「・・・。私が降りて行って例の羊皮紙を見せて来ましょうか?」


「危険ではないですか?」


「我々を敵と認識していたら、今頃蜂の巣でしょう。」


 神宮寺は車を降り、両手を挙げて門へと歩く。右手に羊皮紙、左手に白い無地のハンカチを持って。


 車内からは会話は聞こえない、身振り手振りで何を言っているかはなんとなくわかる。


 神宮寺はこちらを向き、手招きをする。


「こっちに来いと・・・。」


 ゆっくりと高機動車を動かす。


 門の手前で神宮寺を乗せ、救出作戦の時に開けた南門の大穴を通って城下に入る。


 徒歩で道案内するボルドアス兵に速さを合わせる為、最徐行しているので注目の的となる。大量の視線

を浴びながら、枢密院の前に辿り着く。


 枢密院の会議室で西村と神宮寺は待たされる。


 そして、ボルドアスの役人が入ってくるが、なんと年端も行かない子供であった。西村等は立とうとす

るが・・・。


「そのままで結構です。」


 役人は対面に座り、一礼する。


「ボルドアン皇族召使の『レッソン』と申します。」


「日本国外交官西村です。」


 毅然とした態度と表情に、西村は直感的に只者ではないと悟る。


「日本という国が実在したとは。」


「失礼を承知でお聞きしますが、お幾つなのですか?」


「十四になります。」


 日本では中学二、三年だ。そんな彼が日本国と外交交渉をしている。そう考えると、優れた英才教育を

受けてきたと予想できる。


「まずは謝罪を要求します。そもそも貴国はジュッシュ公国との戦争には無関係のまず。それなのに帝都を攻撃したのですから。」


「確かに国交が無かった日本にとっては対岸の火事で終わらせていました。しかし我が国も貴国から攻撃

を受けています。よってその要求は拒否します。」


「そんな報告は上がってきていません。貴国は虚偽の出来事をでっち上げ、帝国への宣戦布告の供述にし

ているではないか?」


「九十九里事件で第4陸戦隊を率いていたヴァルサルと、ゼーレフォン沖海戦の大将デュリアン提督は現

在我が国で捕虜となっています。」


「あの二人が・・・。戦死扱いとなっていなしたが。・・・ベルテクス提督は?」


「ヴァルサル殿立会いの下、引き上げた遺体を調べたところ・・・。」


「・・・。この戦争、ベルテクスの独断専行がきっかけですか?」


「ヴァルサル殿の証言と合わせればそうなります。」


「・・・僕から王女を説得してみたいと思います。まだ間に合いますか?」


「戦争が回避できるに超した事はありませんが、貴方にそれだけの権限が御有りなのですか?」


「まぁそのあたりはお任せを。」

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