表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミトスター・ユベリーン  作者: カズナダ
第4章 激突
40/74

ヴァルサルとデュリアン

 日本 首相官邸

「札幌の北方方面隊とゼーベルムートの西村外交官からの報告書です。」


 『ボルドアス、対日宣戦布告の可能性大』『東方大陸南部で大規模な油田発見』『北方四島の露軍、不可解な行動』


「油田以外穏やかではないな。」


「ですが、択捉にも国後にも、片道四千五百kmを行き来できる航空機は配備されていませんので無視でよ

ろしいかと。」


「今は、ボルドアスだな。宣戦布告ということは本格的な戦闘になろう。」


「北海道及び旧太平洋側の基地・駐屯地には即行動できるようにしてあり、大湊に佐世保所属の護衛隊を

移動させ二時間以内の行動が可能です。」


「食料と石油の問題は解決に大きく傾くが、次は情報の無さが問題になるな。」


「各種衛星を搭載したイプシロンロケットの発射から軌道投入後の稼動まで後数ヶ月を予定していま

す。」


 近い内に種子島宇宙センターから通信・観測・軍事の各衛星を複数打ち上げ、この世界全体の大まかな

データを採取すれば、今後の作戦行動に役立つのだ。


 東京留置所・・・。

 ここに、九十九里事件で陸戦隊を率いていたヴァルサルと、ゼーレフォン沖海戦の大将デュリアンが投獄されていた。


「(救出作戦成功!!)」


「どうしたヴァルサル?何が書いてある?」


 ヴァルサルは、陸上自衛隊第一師団長鎌田陸将と交流を深め、その一環として日本語の学んでいた。


「日本陸軍が帝都を攻撃し、捕虜を救出したと。」


「王女の性格からすれば、怒りに任せて宣戦布告もありえるぞ。」


「そうなれば大規模な武力衝突は避けられません。」


「この国と戦って勝てる訳が無い。帝国は滅ぶ。」


「その通りです。」


 二人は既に帝国がいかなる策を講じようとも日本に敵わないことを実感していた。


 ガンッガンッガンッ


 看守が鉄格子を棍棒で叩く。


「ヴァルサル、面会だ。」


「鎌田殿か?」


「私に会いに来るこの国の者など、一人しか居りません。」


「私も付いて行って良いかのう?」


「囚人の面会は一人だけだ。」


「という事らしいのです。では。」


 面会室にはガラス一枚を挟んだ向かい側に、よく見知った男が居た。


「やあヴァルサル殿。」


 鎌田だ。


「本日はどうされた?話したい事は全て話したと思うが?」


「実は、ボルドアスが日本に対し宣戦布告する可能性が出てきました。」


「やはりか・・・。」


 ヴァルサルからすれば予想できた事だ。


「その事で私やデュリアン提督からも伝えたい事があります。」


「・・・。君。」


 鎌田は見張りの看守を呼ぶ。


「は?」


「デュリアン殿も連れて来てくれ。」


「それは規則違反で-」


「この戦争を終わらせる重要な話だ。」


 看守は渋々頼みを聞き入れる。


「伝えたい事とは?」


 二人は、投獄中に描いてた計画を鎌田に話す。


1、ヴァルサルと数人の自衛官でボルドアスの属国の一つ、島国『アストラン共和国』に潜入、島内のレ

ジスタンスと共闘する。

2、島内の基地を自衛隊が破壊したと同時に武装蜂起、独立を宣言する。

3、デュリアンもまた、海軍基地がある本国の『サンケルク』で懐柔を行い、独立阻止に動く艦隊を洋上で自衛隊に降伏させ、そのままデュリアンの指揮下に入れる。

4、属国各地のレジスタンスに指定した日時に蜂起できるよう情報を流す。

5、帝国軍の大部分が鎮圧に動いたところを、デュリアンがクーデターを起こす。

6、速やかに帝都を制圧した後、日本及びジュッシュと講和をする。


「そう上手くいくとは思わんが、何より勝手に自衛隊を計画に組み込まないでいただきたい。」


「それについては謝罪したいが、どうしても貴殿らの力がなければ実行無可能なのです。」


「解放に協力する事は出来ません。現有の戦力では日本本土の防衛が限界です。属国まで攻め入るなどで

きません。」


 防衛省の計画では、ジュッシュ軍とボルドアス軍の決戦を援護しつつ、特戦群とSATを帝都の首脳部に強襲させ要人全員を拘束する。


 だかこれに、デュリアンのクーデター計画を盛り込む事にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ