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ミトスター・ユベリーン  作者: カズナダ
第4章 激突
39/74

急転

「おっせぇぞ!」


 先に待つエフィセットのもとに着く


「村長への挨拶は基本だろ?」


「なんだ・・・。そうだったんだ。」


「それで、サデウミスの首都まではどの程度かかりますか?」


「『アーゼナルガルド』まではだいたい六時間ぐらいかな?馬で。」


 徒歩でないだけまだましであったが、それでも長旅は避けられないし、何より西村は乗馬など経験していない。


 急遽馬車を借りて移動する事、七時間・・・。

「さぁ着いたなぁ。」


 西村・ルフト・エフィセットの三人はアーゼナルガルドに到着した。


 首都であるだけあって、人口は二万人に達する。


 だが・・・。


「何というか・・・。多種多様ですね。」


「エルフだけでなく、ドワーフやホビット、獣人族なんかが集まって国だからなぁ。」


 メインストリートには長屋づくりの商店が軒を連ね、活気があるものの取引は『物々交換』と、八世紀

初頭の日本よりも劣っていた。


 一行は、サデウミスの中枢、セントラルタワーに入り、エフィセットとはそこで別れた、


 そして、サデウミスの国家元首『エンドリュー』と会談する事になった。


「国家元首、『ドラゴニュート』のエンドリューと申します。貴方方の話はサミエルから聞いておりま

す。」


 円卓の出入り口から見て一番奥の席にエンドリューが、その対面に西村とルフトが座る。


「日本国外交官の西村と申します。会談を受け入れていただき感謝申し上げます。」


「これはどうもご丁寧に、ところで日本とは一体どの様な国なのですか?」


 西村は予め用意していた資料を渡した。


「荒唐無稽ではあるが、ジュッシュのお墨付きなら真実なんだろうな。」


「サデウミス集合国家はどの様な国ですか?」


「それを知ると言う事は、タンタルス大陸の歴史は知ることになりなすが、よろしいですか?」


 それは、タンタルス大陸の国々から見れば、悲劇的な物であった。


「貴国等も悲劇というのは避けた通れなかったのですね。」


「日本もそうなのですか?」


「丁度八十年前の事ですが。」


 お互い、何処かで共感し、同情した。


 そして・・・。


「日本は我が国に何を要求する?」


「『燃える水』と言う物がこの国にあるとお聞きしたので・・・。」


「確かに有りますな。マーメイル達がそれに困っていまして・・・。」


「海洋汚染ですか?」


「そうです。そのせいで彼女等の住む場所が狭まっているんです。」


「水は海底から噴き出しているのですか?それとも陸から流れ出ているのですか?」


「ほとんどは陸からの流出です。止めどなく溢れてくるので、半島の東側は立ち入ることができないので

す。」


「それでしたら、日本に頼んでみてはどうですか?」


 ここで、沈黙していたルフトが口を開く。


「日本に頼めば、海洋汚染を止められるのか?」


「汚染の度合いによります。範囲によって時間も爪痕も変わってきますので。」


「こうしている間にも、汚染は拡大しています。『ソプラソット山脈』を挟んで東側の領土を貴国に貸し

与えるので、一刻も早く止めていただきたい。」


「では、掘り出した『燃える水』は自由にしてよいと?」


「・・・。利益になるのでしたら、幾分かは我が国に分け与えていただきたい。」


 上手いこと油田利権を独占とまではいかなかったが、それでも日本に非常に有利な条件で会談は終了し

た。


 サデウミスとジュッシュは日本がボルドアス帝国と戦争中であることを理由に、国家承認は戦争終結後

となった。


 数日後、西村とルフトはゼーベルムートに帰還し仮宿舎で準備をしていたが・・・。

「西村殿!!」

 リオネンが慌てた様子で西村に羊皮紙を渡した。


 その内容は・・・。


『ニホン国は先日、ボルドロイゼンを襲撃した犯人を処刑し、その首と共に純金貨百万枚を差し出せ。もし、上記の要求を受け入れない場合、ニホン国の民全てに、帝国の裁きの鉄槌が下される。

 ボルドアス帝国 第十三代王女 リーエンフィール=ボルドアン』


 一方的な物であった。


「これを持ってきた者は?」


「昨日帰りました。『以後の話はボルドロイゼンに来てから』とも伝えられました。」


 ボルドアス帝国に日本の存在が知られ、宣戦布告もされた、西村の手に余るこの状況はすぐさま、本国に伝えられた。

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