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ミトスター・ユベリーン  作者: カズナダ
第3章 継戦の限度
30/74

認知

 ボルドアン城 王の間

「何か分かったぁ?」


 ベルナールは王女に、尋問の成果を報告していた。


「そっそれが・・・。」


「んん?まさか薬が効かなかったとかぁ?」


「いっいえ。それが、敗残兵共と同じような証言をするものですので。」


「何?あいつまで洗脳でも受けてるのぉ?」


「自白剤を投与したもの全員、嘘偽りの無い証言をしています。人事課立会いの下、経歴を話させ確認さ

せました。」


「じゃぁ、あの女の言っている事が真実、て言う仮定を置いて聞かせてもらおうじゃない。」


 ベルナールは懐から羊皮紙を取り出し、王女に献上した。


 その内容は・・・。

1、ラブングル会戦の敗因は日本国の存在にあり。

2、日本国はジュッシュ公国の西方約4500kmの島国である。

3、日本国との最初に接触はゼーレフォン沖海戦に遡る。

4、海戦と同時に日本はヘリコプターと呼ばれる空飛ぶ箱と使い艦隊の八割を殲滅し、残りの10隻を灰色の巨大船の百発百中の大砲で撃沈した。

5、日本はその後公国に対し、ボルドアスとの戦闘を肩代わりする代わりに、日本が必要とする物資を提供すると言う公約を交わす。日本に軍事力を査察すると言う条件付きで。

6、日本軍の総兵力は25万と少ないが、兵・武器の質で公国はおろか、帝国をも大きく引き離している。

現にラブングル会戦に投入された日本兵百人だけでボルドアスの輜重隊一万五千人を圧倒した。


「よくもまぁ、こんな現実離れしたことをペラペラと。」


「しかし敗残兵との証言と合わせてもラブングル会戦に関しては真実と言わざるを得ません。」


「自白剤の効果から見て、他の事も信憑性が高そうねぇ。」


「日本については調査する必要があると思います。」


「存在自体怪しい国を調査って、そもそも在るとしてもジュッシュから西に4500kmでしょぉ?」


「大陸内でコツコツと情報を集めるしかありません。」


「もうあんたの勝手にしなさい。」


 ボルドアス帝国に日本の存在が知られた。


 しかし存在自体を知らない者が多く、情報収集は難航する。


 有力な情報を持っていると思われるクローディアでさえ、日本の事はその現実離れした力を理解しきれていなかったのだ。


 そして、数日の時が流れたある夜・・・。

 ボルドアン城のすぐそばで一筋の光が現れた。


「まぶしいわねぇ。何よもぉ!」


 寝室で寝ていた王女は、その光に不快感をあらわにした次の瞬間・・・。


 バゴォォォォン


 城下の南門が爆発した。


「敵襲ー!敵襲ー!!」


 まさか、帝都が攻撃を受けるはずが無い、王女はそう思っていた。


 だが南門は破壊され、兵士達があわただしく動いている。


「(日本はボルドアス帝国を凌駕する力を持っている。日本がジュッシュ公国に代わりボルドアス帝国と

戦う。)」


 脳内に再生される、報告書の内容。


 王女にとって、受け入れたくない現実が己の眼前に広がっていた。

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