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ミトスター・ユベリーン  作者: カズナダ
第3章 継戦の限度
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絶望のクローディア

クローディア誘拐から数日 ボルドロイゼン・・・。

「ベルナール、今度の敗戦の責任、どうしてくれるのぉ?」


 ジュッシュ公国の指揮官が不在になるので、簡単に攻略できる、という情報を持ってきたベルナール公爵は、王の間において御叱りを受けていた。


「殿下、おっ恐れながら、あの情報を報せたのはガムランで-」


「おだまりっ!!」


 責任から逃れようとするベルナールを、王女は一蹴する。


「お前自身であってもなかろうと、お前があの情報を私に教えたのよぉ?違って?」


「いっいえ。その通りにございます。」


「だったらお前は偽の情報に躍らされ、新兵器の『カノン砲』をドブに捨てたのよぉ?」


 ベルナールは反論できない。


 敗残兵の証言も支離滅裂、荒唐無稽な物ばかりであてにはならない。だが彼にはとっておきの保身材料

が残っていた。


「とうていお前一人の首で払える対価ではないわねぇ。・・・となれば一族郎党を-」


「殿下!お待ちを!!」


「うるさいわねぇ。この期に及んでまだ言い訳する気ぃ?」


「あの会戦では、ただ負けた訳ではありません!しっかりと成果を得てきました!」


「ほう・・・。そこまで言うなら、見せなさい。お前が得た『成果』という物を。」


「おいっ!入れ!」


 ベルナールの部下二人が薄汚れた女性を連れて入ってくる。


 ベルナールの隣に来たら、連行索を引っ張り床に倒す。


「誰ぇ?この汚らしい女ぁ?」


「殿下、この者が我が帝国の侵攻を尽く阻んできた『クレー騎士団の長・クローディア』にございま

す!」


「あんたなんかに・・・名前を呼んでもらいたく・・・ないわよ。」


「お前が『ジュッシュの英雄』ぅ?」


「そうみたいね。けど驚いたわ、『王女』なんて呼ばれているから、どんな老け顔かと思ったら、私より

全然子供なのね-、・・・うっ!」


 王女はクローディアの顔を踏みつけた。


「こうすればその小生意気な口も塞がるかしらぁ?」


 そのままベルナールを見る。


「首の皮一枚繋がったわね。」


「ははぁ!ありがとうございます!。」


「後は尋問でも何でもしなさい。それからコイツは北の塔にでも放り込んでおきなさい。」


「わっ私がですか?」


「何言ってるのぉ?当たり前じゃない?この私に捕虜の世話をしろって言いたいのぉ?」


「いえっ!滅相も-」


「分かったらサッサと行けぇえ!!」


 ボルドアン城 北の塔・・・。

「うわっ!!」


 薄暗く湿気がこもる塔内にクローディアが放り込まれる。


「はぁ・・・。はぁ・・・。」


 夏にも関わらず身体は震え、吐く息は白く寒さと圧迫感に押し潰されそうになる。


「(お姉ちゃん、リオネン、助けて、助・・・けて。)」


 クローディアは涙を流し心の底から祈る。

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