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ミトスター・ユベリーン  作者: カズナダ
第3章 継戦の限度
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闇夜の刺客

 外に出れば、周りは真っ暗闇で月明かりしか頼れるものがない。


「悪いクローディア、先に帰っていてくれ。私はコイツ(リオネン)を冷水に放り込んでくる。」


「ほっほどほどにね?」


 ルフト、リオネンと別れクローディアは先に家に帰る。


 家についてすぐに寝間着に着替え眠りにつく。が・・・。

「・・・。全然寝れない・・・。」


 心身ともに疲れているはずなのに全く寝付けない。


 考えられる原因として思いつくのは・・・。


「お酒、ベッド、それとも・・・。」


 ふと、姉であるルフトの事を思い浮かべたが・・・。

「そんな訳ない、そんな訳ない!」


 全力で否定するように首を横に振る。


「・・・。お水でも飲もう・・・。」


 気分を変えるため水を飲もうとグラスを手に取るが・・・。


 ガチャン


 玄関の扉が開いた。


「(お姉ちゃん?帰って来-)・・・!?」


 姉と違う気配を察し、玄関とは反対側の窓から逃げようとする。


「逃げたぞ!追え!」


 投げ捨てたグラスの音で侵入者に行動を悟らせてしまった。


 足音からして四、五人。窓を開けて身を乗り出そうとするが・・・。

「きゃっ!!」


 追いつかれた。


「大人しくしろ!」


「いやっ!誰かたすけ-うぐっ!?」


 口に布を噛ませられ声が出せない。


 それでも抵抗するが、手足も縛られ身動きできなくなり、右腕に冷たい感触と、直後に液体が流れる感

触がする。


「(切られた!?でも浅・・・。あれ?)」


 クローディアを強烈な睡魔が襲う。


 侵入者の所持していたナイフには『ツァスパー(毒ヘビ)』の睡眠毒が塗られていた。


「(くっ・・・そ・・・)」


「どうかし・・・ぐわっ!?」


 わずかに発した悲鳴を聞いて来たと思われる男性は刺殺され、やがてクローディアは深い眠りに落とさ

れた。


 数分後・・・。


「まったくリオネンのやつ、手間を掛けさせやがって。」


 何も知らないルフトが帰宅する。


「・・・?玄関が開いている?」


 言い知れぬ違和感がルフトと襲う。


「-っ!!」


 家の中は荒れに荒れ、男性の死体まで散乱していた。


「・・・(さらわれ-)!!まさかっ!?」


 男性が死ぬ間際に残したダイニング・メッセージで、クローディアが攫われた事がわかった。


 自衛隊仮宿舎


 ガンッガンッガンッガンッガンッ


 扉を激しく叩く音が部屋中に響き渡る。


「悪戯か?」


 日本国内にも自衛隊を嫌う組織は少なからず存在する。だとしたら「よそ者は出ていけ」と言う意思表

示だろうと無視を決め込む。


 ガンッガンッガンッガンッガンッガンッガンッガンッガンッガンッ


 しかし止まない。


 さすがに注意しようと神宮寺が扉を開ける。


「・・・!?ルフト殿!?どうされたこんな時間に?」


 そこには息を切らし汗だくのルフトが居た。


「神宮寺殿助けてくれ!!」


「まずは落ち着いて。話は-」


 神宮寺は落ち着くよう促すが、ルフトから衝撃の言葉が飛び出す。


「クローディアが・・・、クローディアが攫われた!!」


「何だって!?」


 クローディアというジュッシュ公国との最も太いパイプを失ったというこの事件は、その後の日本に大きな決断を迫ることになる。

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