表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミトスター・ユベリーン  作者: カズナダ
第2章 必要なもの
24/74

ラブングル会戦 6

ラカヌデンの森 ボルドアス軍野営地・・・。


 バンバンッパパパパパンッバゴォンッ


 銃声と爆発音が鳴り止まない。


Xエクスレイ援護しろっ!」


「11時の敵集団にMINIMIを浴びせろ!」


「手榴弾いくぞぉおっ!」


 それでも、兵と武器の質で大きく勝る特戦群が圧倒的優勢であった。


 同、指揮所・・・。

「ええいっ!さっさと殲滅せんかっ!!」


 ボルドアス輜重隊モーガン男爵は焦っていた。


「たかが数百人に何を手こずっておる!?」


「ですが、敵の銃の威力を発射速度は我が軍の-」


「銃で駄目なら大砲を使わんかっ!大砲をっ!!」


 陣地内・・・。 

Yヤンキー前進しろ!」


 快進撃を続ける特戦群の前にボルドアスのカノン砲が立ち塞がる。


「・・・ッ!!奴等牽引砲の準備をっ!!」


「撃たせるなっ!擲弾ッ撃ってぇええ!」


 ポンッ バゴォンッ ドガァァァアアン


「うぉわっ!?」


 放たれた擲弾は見事カノン砲の足元に着弾したが、付近に放置していた火薬が誘爆、大爆発を引きを超した。

 この爆発でモーガンを含めた二千人が爆死、生き残った者も四肢の欠損や大火傷で一生物の怪我を負った。


「撃ち方やめっ!!」


 そして、同時に戦闘の終幕の合図となった。


「おーい。こっち、手を貸してくれえ。」


「担架を持ってきてくれえ。」


 特戦群は救助作業を実施しているが、周り一帯にはまだ熱気があり、なにより隊員を最も苦しめたのが皮膚の焼ける臭いであった。


「うぅっ・・・!!」


 その臭いはあまりにも強烈で、その場に嘔吐した者も居た。


「いっそ殺したほうが俺等も、コイツ等も楽になるんじゃねえの?」


 誰かの愚痴が神宮寺の耳に入る。


「口を慎め!我々の任務は殺戮ではない!!」


「ですが隊長。奴等『殺してくれ』と願い出ています。下手に生き長らえさせて後遺症にで苦しませるの

ぐらいなら、いっそ・・・。」


「それでもだ。」


 ボルドアス兵の真意としては、帰還した重傷者のほとんどは「役に立たない」という理由で「処分」さ

れていたからだ。だが、戦場での「戦死」であれば幾分かの名誉が残る。なので何が何でもこの場で殺し

て欲しかったのだ。


「止まれっ!何の者だ!?」


 一人の女性騎士が現れた。


「私はルフト、ジュッシュ公国近衛兵団の団長だ。」


「(話に聞いていた要人か)私は日本国陸上自衛隊特殊作戦群の神宮寺二等陸佐だ。」


 ルフトは周りを見渡し状況を確認する。


「何故敵を助けるのですか?」


「敵といっても、戦意を失った敗残兵です。我々は無抵抗の者を殺めたりしない。」


「完治すればまた攻めて来ますぞ?」


「彼等に、それだけの力が残されていると思いますか?」


 ルフトの視界に映るボルドアス兵は皆、腕か脚、もしくはその両方が失われている。さらに、先ほどの

爆発に巻き込まれたのか、大火傷を負っている者も多い。


「できれば力を貸していただきたい。我々だけではどうすることも出来ない。」


「・・・、・・・わかりました。」


 ルフトが協力を判断したのは、一度ならず二度までも公国を救ってくれた日本に少なからず恩を返さな

ければならないと思ったのと、今後日本を付き合う上で彼等の機嫌を損ねるわけにはいかなかったのだ。

 後にクレー騎士団とジュッシュ陸軍も駆けつけ、ボルドアス軍の負傷兵約三千人が救助さら、捕虜としてゼーベルムートに移送された。


日本・ジュッシュ

 ・戦死 約二万

 ・負傷 約九千

 ・ハーゼ騎士団壊滅


ボルドアス

 ・戦死 約三万

 ・負傷 約一万(帰還できた者のみ)

 ・捕虜 約五千

 ・行方不明 約五万五千

 ・カノン砲 二門被鹵獲

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ