番外編 いずも女子会
査察団がゼーレフォンから横須賀に向かう三日間。
本編ではホルステが梅津に質問攻めをしていることろです。
いずも居住区・・・。
ルフトとクローディアは横須賀基地に到着すまでの間、女性隊員専用の生活区画で寝泊まりする事になった。
「なんで栄光あるジュッシュ公国近衛兵団団長であるこの私が!異国の一般乗組員と同じ寝床を使わねば
ならんのだ!?」
「仕方ないよお。元々男ばかりの船に女性が来ることなんて殆ど無いんだし、これも自衛隊なりの最大限
の配慮なんだと思うよ?」
「それもそうだが・・・。だがお前も見ただろ?すれ違いざまにこちらを見てくる男共の眼!不愉快極ま
りない!おまけに人を三十代だと・・・!?まだ二十六だ!!」
「それについては同感だけど少し落ち着こうよ。それにいくら顔にシワがあるからってにじゅ-ご
ふっ!」
ルフトはクローディアの口を塞ぐように枕を顔面目掛け投げつけた。
「もういい!!寝る!!」
完全にご機嫌斜めだ。
「やれやれ。」
呆れて言葉も出ない。
「あれ?クローディアさん?」
「えっ?」
聞き覚えのある声。間違いない、星野だ。
「ここ星野さんの部屋だったの?」
「私達、かな?この部屋を使っているのは私を含めて三人だから。」
「そうなんだ。」
「それにしても、つい最近退艦したのにまた来るなんて、どこか具合でも悪くなったの?」
「違うよ!そんなんじゃないよ!」
不覚にも、さっきまで姉をからかっていたのに、すぐさま星野にからかわれた。
「しーっ!隣の人起こしちゃうよ?」
「大丈夫だよ。どうせ寝たふりだから。」
「どうせって何だよ、どうせって?」
ルフトがゆっくりと体を起こす。
「ほらね?あっ星野さん、この人が私の姉のルフト!」
「ジュッシュ公国近衛兵団長・ルフトだ・・・。」
「いずも衛生科員の星野です。」
「姉様、殺気を抑えて-」
「お前に向けたものなんだよ!」
「ひいぃっ!」
クローディアは反射的に星野の腕に飛びついた。
「あの~。何かあったのですか?」
「お前には分らんだろうな!二十六にして妹から「顔に皺がある」と言われた私の気持ちが!!」
怒っているのか、泣いているのかが分からない。
「二十六って私よりも若いんですね。」
「えっ?」「へっ?」
姉妹から気の抜けた返事が返ってきた。
「えっ、じゃあ星野さんって歳いくつなの?」
「三十二だけど?」
ルフトは年下と思っていたのが、まさか六つも年上であることに開いた口が塞がらなず、クローディア
も年上だとは思っていたが、予想以上に離れていたことでルフトと同じ状態に陥る。
「あら?私、変なこと言った?」
「かっ仮に三十二なら教えてくれ!どうやったらそんなに若くみせられるのんだ!?」
「私にもどうか!」
それ以降、この部屋の住人による『美容に関する講師会』は三日間に渡り続けられた。