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ミトスター・ユベリーン  作者: カズナダ
第2章 必要なもの
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砲火の前哨

 朝・・・。

「おや?お早いんですね。」


 奥村は自分より早くロビーで待っていたルフト・クローディア姉妹に驚きつつも挨拶を交わす。


「はいっ!だって本日の富士総合火力演習、凄く楽しみだったんですもの!」


「こいつったら子供のようにはしゃぐあまり寝れないからって私のへ―」


「わーっ!わーっ!!わーっ!!!」


 クローディアの狼狽えっぷり、昨晩何があったのか気になるが、止めておいた方が身のためと奥村は悟

る。


「何ですか?朝っぱらから騒々しい。」


 ホルステも起きてきて、全員揃った。


「皆さん揃いましたね。それでは総火演が実施される東富士演習場までご案内します。どうぞバスにお乗り下さい。」


 約二時間後・・・。

 日本のバスは昨日乗ったリムジンと同じく揺れはほぼ無く車内の温度も一定に保たれ快適極まりないものであったが・・・。


「あ゛つ゛い゛ー。」


 そのなバス移動とは打って変わり、雲一つ無い快晴で会場には日差しを遮る物など何も無い。

 総火演を行うには最高のロケーションであった。

 しかし見る者にとっては灼熱地獄である。


「今年の観客動員数は3万人に達するそうです。」


「さっ3万人!?」


 もはや頭では整理できない。


「一応飲み物と日傘を用意して有りますが?」


「わしは傘など要らん。貴国の力を見極めねばならんのでな。」


「私は受け取っておく。流石に肌を焦がしたくない。」


「私も。」


 そして、ついに始まった。


 航空自衛隊「F-2」戦闘機による模擬爆撃。


「あれが、日本空軍・・・。」


 野戦特科連隊の遠距離火力。


「あんな遠くまで届くのか・・・。」


 迫撃砲中隊の中距離火力。


「歩兵が扱う砲でさあの威力・・・。」


 普通科連隊の近距離火力。


「マスケット銃が可愛く思えてくるな・・・。」


 航空科部隊のヘリコプター火力。


「ボルドアス船団を撃滅した空飛ぶ箱・・・。」


 高射特科部隊の対空火力。


「面白い車だな。」


 機甲科部隊の戦車火力。


「腹の底まで響き渡る・・・。」


 帰り道のバス・・・。

 まだプログラムは続いているが、査察団は一通り見終えたことと、何より現場の暑さで疲れきっていた。


「あの・・・。本日の以後の予定は取り消しましょうか?」


 そんな彼らを奥村は気遣う。


「ああ。是非とのそうしてくれ。」


 ホテルに戻ると全員ホルステの部屋に集められた。


「皆、今日のことどう思った?」


 率直な質問であった。


「私は、あれは日本陸軍の力があそこに集まっていると思いました。なので陸軍に関しては、あれを拡大

解釈すれば良いと考えます。」


「うむ。では海軍を残すのみだな。」


「いえ、もう一軍あります。」


「は?どういうことかね?」


「日本にはもう一つ「空軍」が存在します。」


「一番最初に出てきたあの「青い鳥」のことか?」


「はい。あれは航空自衛隊と言う陸軍、海軍を全く違う組織が運用する物。見る価値は充分にあると存じ

ます。」


「なら早速奥村殿に交渉しよう。」


 ルフトが扉に手を掛けようとしたその瞬間・・・。


 バダンッ!!


 勢いよく扉が開きルフトが弾き飛ばされる。


「いってぇえええええっ!!」


「ああ!!すみません!!」


 扉を開けた張本人は奥村であった。


「どうしたのかね奥村殿?」


「そうですよ。何をそんなに慌て-」


「緊急事態です!ボルドアス帝国がジュッシュ公国へ侵攻を開始しました!!」


「なんだと!!?」


 数時間前 ジュッシュ・ボルドアス国境・・・。

「よいな?」


「はっ!」


 ボルドアス帝国伯爵・リゴー指揮する

  ・歩兵7万5千

  ・騎兵7千

  ・砲兵3千

  ・輜重兵1万5千

 は、


「進めぇええっ!!」


 公都ゼーベルムートへの最短コース「ラブングル街道」を南下。


 総攻撃を開始した。

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