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ミトスター・ユベリーン  作者: カズナダ
第2章 必要なもの
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査察団 来日

 一時間後・・・。

 ジュッシュ公国査察団を乗せたSH-60Jは海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦いずもに着艦した。


「帝国の一等戦列艦より巨大だな。素材も木材ではなく・・・、これは・・・、金属か?」


「これだけ大きく、さらに鉄でできた船が浮くとは・・・。信じられません。」


 ホルステとルフトはまるで、別世界に来た感覚に陥るが・・・。


「それでは、これから皆さんが三日間寝泊りする部屋まで案内します。」


 谷川はルフトとクローディアを、いずもの副長がホルステを艦内に導く。


 数時間後・・・。

 いずも艦長室


「物凄い船ですな。何メートルですか?」


「248.0mです。」


「これだけ巨大な船が金属で出来ていて、尚且つ海に浮かんでいるのだから、この歳の割りに好奇心が湧

き出てきます。」


「お褒めに預かり光栄です。このいずもは現在海上自衛隊が運用する最大の護衛艦ですが、貴方の好奇心

はこの船体におさなりきらないでしょう?」


「分かりますか?では今朝我々をここまで運んできたあの白い空飛ぶ箱は一体?」


「SH-60Jですか?」


「そやつについても詳しく教えていただきたい。」


「それでは-」


 谷川等はまるで、物心が付いたばかりの少年を相手にする様に、ホルステの質問攻めに答えて言った。


 三日後・・・。

「皆様!横須賀が見えてまいりました!」


 紀伊半島より東、青森より南の海域の守護を担う、海上自衛隊最大の基地・横須賀


「資料では拝見しましたが・・・。」


「圧巻ですね。」


 公城を越える高さの建造物、煙を噴き出す巨大な筒、港湾を出入りする大小様々な船。


 一瞬で分かった、公国最大の港町・ゼーレフォンなど足元にも及ばないと。


「もやい送れぇえっ!」


 天城桟橋に係留する。桟橋の上には出迎えと思われる人が数人居た。


 桟橋に降り、感触を踏みしめる。


「(石のかと思っていたが、若干違うな。)」


「お待ちしておりました。」


 見上げると、的場や西村と同じような黒くパリッとした服を着た人物が腕を広げ査察団を迎え入れた。


「外交官の奥村です。日本に滞在の間、私どもが皆様の補佐を勤めさせていただきます。」


「はあ。」


「ではこちらへ。」


 リムジンと呼ばれる、機械式の馬車に乗車する。


「梅津殿達は来ないのですか?」


「彼等の役割は終わりました。後は我々が責任を持って引き継ぎます。」


「そうですか・・・。」


 ルフトとクローディアの残念感を無視するように車は動き出す。


 基地の門を通り抜け道路の出る。不思議な事に揺れは殆どなく、僅かな揺れはまるで振りかごの様に心地よく、ルフトとクローディアの眠気を誘う。


「・・・。・・・ん?」


 ルフトは窓際に座ったは良いものの、容赦なく襲ってくる眠気に絶える為窓の外を永遠と眺めていた。耐えるのに必死になっているので目に入る景色に何の感情も沸かない。

 そして右肩に圧迫感を感じた。


「すー。すー。」


 視線を向けると、眠いのを我慢するルフトの隣に座っていたクローディアが睡魔に負けて、ルフトの右肩を枕にもたれ掛かっていた。


「(やれやれ、可愛げが有るのはこうゆうとこだけか。)」


 姉がそばに居るからか、寝顔からはネガティブな感情は読み取れない。完全に安心しきっている顔だった。見とれていると、開き直ってこのまま寝てしまおうとも思ってしまうぐらいに。


「ところで奥村殿、我々は何処に向かっているのかのう?」


「我が国が誇る最高級ホテル「帝国ホテル」です。」


「帝国!?」


「ボルドアス帝国、と思いなら間違いです。帝国ホテルは百年以上の歴史を持つ、まごうことまき日本の

ホテルです。」


「それは失礼しました。それで、先日梅津殿から「八月末に面白いものが見られる」と伺っておるが?」


「それに付きましても、ホテルにて後ほどご説明させていただきます。」


 奥村とホルステだけで話を進めたが、ふとルフトの様子も見ると・・・。

「おやおや。」


 ルフトも睡魔に負けれ寝てしまっていた。


「到着するまでそっとして差し上げましょう。」


 ホルステは静かに見届けようと促す。

 2人の息子をボルドアスとの戦争で亡くしている彼にとって、この姉妹はまるで孫のようであった。


「後30分程ですが、そうしておきましょう。」


 奥村もホルステの意見に賛同。


 このままリムジンは一路、帝国ホテルを目指す。

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