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一途とは  作者: 木乃伊
2/2

全ての始まり




今思い返せば彼には悪い事をした。


小学六年生の夏休み前日、私は放課後の教室で待つよう彼に呼び出された。

彼とは五年生の時に同じ放送委員で仕事したくらいの仲で六年生になってから委員が変わり殆ど関わって無かったから久しぶりに話せるなぁくらいにしか思ってなくて……当時、私は疎かったのだ。


「待たせてごめん」

「いやいいよ、それより話って何?」


彼はどこか奮い立ったかのように脚がそわそわしていた。


「実は、えっと……君の事が好きです!よかったら付き合ってください!!」


「え?ええ!?」


私はこれが所謂、告白、というのは分かったが付き合うとは何か、好きと言うことがどういうことか全く分かってなかった。

だから、幼心にというのはおかしいかもしれないけれど正直に知らないと言うのは恥ずかしく、かと言って付き合った先もどうすればいいのか分からなくて、私はどこか怖くなって彼にこう言った。


「や、山口くん」

「はい…」


今思えば彼は本当に緊張していたんだと思う。

怯えたような逃げ出したいような顔だったのを今でも鮮明に覚えてる。


「私の事が好きなの?」

「好きです」

「ぅ…それって初恋なの?」

「は、初恋です」

「そっか、初恋なんだ…ごめんなさい、私初恋の人とは付き合わないようにしてるんだ」

「…え?」

「だからごめんね、友達でいて下さい。」


彼が愕然としているのは分かった。それはそうだ、そんな理由で振られるなんて思ってた筈がない。

どこか目の焦点が合っていない彼に私はこう告げて去った。


「ほら、初恋は実らないとかって言うでしょ?だから私は初恋の人とは付き合わないようにしてるの、だって実らないのに付き合うとかないじゃん?だからごめんね、また明日から友達としてよろしく!それじゃあね」


私は机の上の鞄を拾い足早に去った。


それからの事はあまり覚えていない、彼とは元々そんなに話して無かったからあまり気にしなかったし、少し噂になっていたけどすぐ収まった。

その年の冬にもう一度呼び出されたけどまた断って、何度も呼び出されるのは嫌だったから次告白したら絶交だから、なんて言った気がする。


いやー、小学生の頃とはいえなんであんなこと言ったんだろう


「はぁ…」


ため息が出た。


今日は高校の入学式でななめ前の席に座る彼を見る。

友達から少し遠い私立の中学校に行く事になったって聞いてたからもう会わないものだと思ってたのに、、世間て狭いなぁと思う。


向こうは気づいてるのかな。







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