どうしてこうなった?
作中に出て来る名前は色々近い名前です。アウト貰ったらすぐ変えます。中身はオリジナルです。
「どうしてこうなった?」
その青年の発した言葉にその場にいた客、従業員一同が激しく同意した。
先も紹介した通りこの残念なギャンブル依存症はヴァン・アーガスト。フリーの傭兵である。
ついでにこの世界のことも先に記しておこう。
世界の名をユニヴァーサリー。剣と魔法科学が存在する世界。住民の暮らしは魔法科学の恩恵で大分向上しているが、街から一度外に出れば魔物が跋扈し、魔法のみならず未だに有効な戦術の一つとして近接武器の類も有効であり、武器もまた魔法科学的の恩恵を受けているものも多い。
ヴァンはフリーではあるがどんな高難易度の依頼でもこなす。戦争の依頼があれば一騎当千の活躍を見せ。大型の魔物が現れた際にはあっさりと討伐してしまう。
仲間になれば「英雄」
敵に回れば「死神」
彼は決して不死身ではないが数々の修羅場を単身潜り抜け、その力を手にした。
奢ることなく只ひたすらに目的のためにその身を投じてきた。
スロットちゃんを回したいがために。
「こい、こいこいこいこいこい!!!!」
「おい、あいつまさか天井まであの台回し続けたのか?」
「ありえねぇ。確率50分の1で来る台だぞ?」
「しかも0回転から1000回転かー、まぁ、ざらに………おい!ワンプレイ金貨台かよ!!」
この世界は現代日本と同じような紙幣、貨幣混合経済と同じような形だ。
賭場のチップは金、銀、銅に分かれておりそれぞれレートは1万、1千、1百。となっている。
お察しだろう。彼はすでに1000万分のチップを使って当たりを勝ち取りに行ったのだ。
この世界の平均的な給料は約20万
大体それで一ヶ月4人家族生きられるが
彼は根っからのギャンブラー
稼いだ金、幻獣グリフォンの討伐にて稼いだ金丸々賭けているのだ。
素材の状態、並びに危険度合いからレイド推奨の危険生物を単独討伐。その際稀に見る大きさの魔核を発見した為報奨金が釣り上がり1000万となった。
そして彼が打っているスロット。「ブレイジングゴッド」
この台は金チップ限定台だが大当たりを引いた際ランダムの押し順当てに成功すると大当たりするまでに使ったチップの二倍が払い出される。しかし失敗すると1枚のみの払い出しとなる大博打台。
(前日からの宵越しをいれて1500回転目、これを当てれば一気に倍! たかが三択問題だが俺には分かる!スロットちゃんの声が聞こえるんだ!!)
「リールが回っています。7を揃えてください♪」
(真ん中左右、、いやここは順押しか?はたまた逆から狙うか?ふう、今日のゴッドちゃんは俺をここまで振り回すのか。可愛い奴め)
「リールが回っています。7を揃えてください♪」
ゴクッ
決めたっ!!!!!!
うぉおおおおおおーーーーー!!!!!!!
「「中だーーーーー!!!!!」」
((((いった!もう入れてあげて!!))))
周りの観客とお店側は余りにも血走った目をする青年になぜかエールを送る
「「………ででででん……残念、私の力不足だ」」
「「「「は?」」」」
盛大に三択のあわや一発目から外す
チャリン♪
払い戻される1枚の金貨
音が消えたホール内。スロットやカード、ルーレットの回る音すら今は何も響いてこないような錯覚
手に残る金貨幣
手を伸ばす。投入口へ
「「「「やめろーーーーー!!!!!!」」」」
「……バシュン!続けて遊ぶ人はチップを入れてね!」
響く無常のアナウンス音
ヴァンはボタンを押したままの姿から右手をぶらりと下げタバコに手をやる。
火をつけゆっくりと煙を味わい吐き出していく。
画面の中では荘厳な神殿で佇む女神が微笑んでいる。
そしてこうつぶやいた
「どうしてこうなった?」
次回「あれ?スロットちゃんの女神さん?」
天井まで行って単発だと切ないよね。