陸
「なぁ紅葉はどうしたらいいと思う!?」
「ん~俺、そう言う経験ないし・・・女の子の友達もいないから、」
昂輔に見捨てられた優志が縋るように俺に聞いてくるが、生憎俺は友達作りが苦手なのだ。そう言うと優志は机に額を付けるように項垂れてしまった。しかしすぐに起き上がり、
「偶然を装ってぶつかる!!」
「それは相手が可哀想だからアウト」
即効で却下されてる。やっぱり優志ってバカだ。
俺でもそれは相手の女の子が可哀想だと思う。
「あ、重い物持ってる時にさりげなく手伝ってあげるとかは?」
「それだ!」
「でもそんな状況の時に優ちゃんが出会えるのかな?」
これもダメがか・・・。え、何女の子と友達になるのってこんなに難しいの?
俺と優志は頭を悩ませ、二人して唸っていた。
少し賑やかな店内に思い悩む二人の学生と苦笑気味に俺たちを見るもう一人の学生の図。俺はちょっとだけシュールかもと思ったが、俺たちを気にする人はいないだろう。
「もう二人ともなんなの、普通に話しかけることも出来ないわけ?」
あ、昂輔の奴やっぱり呆れてた。
でも、
「フツウニハナシカケル?ナニソレ、オイシイノ?」
ほら、優志がカタコトになっちゃったよ。普通にとか簡単に言うよな、昂輔は。
でも優志は優志でよく女の子好きになるくせに会話もまともに出来ないとか、それこそ何だよ!!
「紅葉も、好きにはならなくても優ちゃんと似たようなものだよね」
「!?」
「はぁ、見た目はチャラいのに、その辺りヘタレだよね優ちゃんって」
なんか思いっきりさらっと言われたけど、もしかして今昂輔、俺の心読んだ!?
「それも言うな、俺が一番わかってる。何とか直したいが、どうも勇気が出ん」
「男子と話すのとそんなに違う?」
「全然違うだろ!?」
「ふ~ん、そうなんだ」
これはもう優志自身がどうにかするしか解決出来ない問題かもしれない。