表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自縄自縛  作者: 茶子
9/16

終末の空想

 例えばの夢の話をしよう。

 怯えた目で、指先で、彼女は呟く。


 これはこうだったら良かったんじゃなかろうかと提案を投げかけられるわけだ。

 しかし、事の終わりは数年前に遡る。

 その間、己で完結し、過ごしてきた自己解釈は、一体どうなると言うのだろう。

 皮肉を込めて相手を睨み、私は口を、目を閉ざす。


 怖かったのだ、恐ろしかったのだ。

 同時に、嫌に陳腐な事柄で悩み、苦しみ、もがいてきたことにも、気が付いていた。

 余白の白い隙間から、私はいつだって覗き、見て、考え、そして達観していた、傍観していた。

 私は怖かった。

 私は逃げ続けた。


 立ち向かうとは何か。

 女というものに問いかける。

 向き合い、声を零し、ぶつけて、争う。

 争い事は嫌いだな、なんて小さくなって笑うように泣いた。

 例えば、争いが平和の礎となるのなら。


 立ち向かうものを男と定義する。

 私が立ち向かうなどと、不可能に等しかった。

 何故なら私の両の手は、からっぽだからだ。

 素手を振り回そうものなら、肩からごそりと削げ落ちてしまう。

 それほどに、私は脆弱だった。


 私は私を殺したいと思う。

 私は私を要らないと思う。

 壊れやすいものというのは、見ているだけでも恐ろしいものだ。

 なら私は、先に壊してしまうよ。

 ほら、そこの高いところから、手を離すだけだよ。


 意識の落ちたところには何があるのか、私には未だわからない。

 でも、私は、終わりを見に行こうと思う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ