表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自縄自縛  作者: 茶子
8/16

其れと云う者

 其れを自覚したのは一体何時の事だったか、実のところそこまで定かではない。

 ぼんやりと始まりを思い浮かべれば、其処は人生の記憶の始まりにまで遡る。

 俗に言う、物心の付いた頃、である。


 敷布団の下に敷くマット、それをジグザグに折り横に立たせ、窓から差し込む暖かな陽光を受けながら、風を通しておくのである。そうすることは、毎朝の母の日課だった。

 よちよちと歩き始めたこのわたしというモノは、幼稚園というものに何回もの夜を超えた先に通わなければならないという、突然の母との反復して繰り返される離別に遭遇する未来への憂いなんぞ露知らず、時間の概念すらも無い麗らかな世界で、ただひたすらに安寧を貪る。

 窓から降り注ぐ、うっとりとする様な春の陽だまりに、わたしはぽとんと腰を落とした。

 犬猫は日差しを受けて眠る、爬虫類は陽光の熱を体内に蓄えて死の淵に片足を差して歩くような、凍える夜に備える。何の脈絡も無い、ただわたしは、世界から自己を吸収し、確立の為に、日向ぼっこに勤しんでいた。にゃあ、と一鳴きを加えて丸くなる。



------------------------------------------------------

飽きた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ