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真実の王が眠る城  作者: 鮎川 了
Königin
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醜悪なるものの正体

【※】前話(第7話)投稿後、後半部分を加筆しました。

まだお読みになっていない方は前話の加筆分に目を通してから第8話を閲覧頂ければ幸いです。






 助けて貰ったのだから礼を云わねば。倒れた自分を寝台まで運んだのも、おそらく王子なのだから。

 そう思い、王子の姿を探すヒルデガルトが居た。

 あの時の剣を構えた王子はまるで別人に見えた。

 美しいだけの顔は精悍な青年のそれに変わり、身体は張りつめた空気を纏う。

 日がな一日寝ているか、酒をあおっているか、さもなくばヒルデガルトに嫌味を云っているかの彼からは想像もつかない変貌ぶりだった。

 それに、あの化け物の事も訊かねば。あの化け物は一体何なのか。と。

 

 やっと王子を見付けたヒルデガルトは早速昨日の礼を云った。だが。

「そなたを助けた積もりは無い。城の中に化け物が出たゆえ成敗しただけの事」

 と、また憎まれ口を叩く。

「あの化け物は何なのですか?この城にはあの様に恐ろしい化け物が始終出るのでございますか?そして、私の侍女はどうなったのでしょう?」

 王子の憎まれ口など気にしては居られない。疑問と恐怖は一刻も早く拭い去らないと。

「そなたの侍女は恐らく死んだのであろう。あの化け物に身体の中から喰われたのだ」 

 “身体の中から喰われた”恐ろしい、おぞましい事を事も無げに云う。

 ヒルデガルトが恐怖に顔をひきつらせていると、王子はなおも云う。 

「あの化け物の狙いは余だ。だが、その為には他の者を利用する。あの侍女のように。厄介な事に不死だ、そもそもあれに命など無い。そのうちまたやって来る」

 恐怖にうち震えながら王子の話を聞いているうちに、ヒルデガルトの心の中にある確信が芽生えた。

「王子、だから私に辛く当たっていたのですか? 私が音を上げてこの城から出て行く様に。あの化け物に私が襲われない様に」

 王子は顔を反らす。図星だった様だ。

「余は、そなたの様な田舎娘を好まぬだけだ。全く、そなたが居ると城の中が田舎臭くなってたまらん」

 それは王子の必死の抵抗に見て取れた。先程の恐怖は何処へやら、勝ち誇ったような気分になったヒルデガルトだったが、今はそんな事で悦に入っている場合では無い。

「王子、何ゆえあの化け物に狙われているのです? さっきも申しましたが、あの化け物は何なのですか?」

 化け物の正体が解ったところで恐怖は拭えない。現に、今でもあの姿を思い出すだけでも膝が震える。

「あれは……余の婚約者の成れの果てだ」

 ヒルデガルトは侍女が云っていた事を思いした。

 あれは何の比喩でも誇張でも無かったのだ。言葉通り、文字通り“化け物”だったのだ。

「余があの様な姿にしてしまった。だから“あれ”は余を恨んでいる」

 今まで見せた事の無い哀しい顔。きっと、愛していたのだ。婚約者を。

 ヒルデガルトは今は見る影も無くなった王子の元婚約者に嫉妬した。あのような姿になろうとまだ王子の心の中には彼女しか居ない。そう思えて仕方が無かった。



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