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クロスロード物語  作者: 雪之丞
白の章 : 第一幕 【 王都へ 】
10/114

1-e.ここまでの解説


 ここまでの人物紹介/用語集/解説などです。

 本文だけで十分わかったという人は次の話に進んで下さい。

 ※用語等に一部抜けがあったので追記しました。




●クロス【人物名】


 魔族の血を濃く受け継いだらしい外見をした魔族系の亜人(魔人)で、この話の主人公。

 極めて優秀な腕を持つ治療師であり、若くして二級治療師の資格を得たために、いずれは死者蘇生の大魔法を修め、一級治療師の資格をもつ司祭へと昇格して、何処かの教会を任されることになるだろう事を周囲から期待されている。

 色々後ろ暗い過去を抱えているせいか、その性格はかなりの堅物で自虐的。

 見た目は身長130㎝程度しかない十歳くらいの子供にしか見えない魔族の魅惑全開で見目麗しい美少年なのだが、その中身は18歳と、なかなかに外見詐欺な人物である。


●クロウ【人物名】


 こちらも魔族の血を濃く受け継いだらしい外見をした魔族系の亜人(魔人)で、異常に紛らわしい名前の持ち主なのだがクロスとは全くの別人である。

 脳天気で軽い言動の目立つ人物だが、記憶喪失を患っているらしく、過去の記録などが一切が不明。そのため冒険者としてはZランクに固定されている。

 名前同様、見た目もクロスによく似た特徴を備えた魔族の魅惑全開で見目麗しい人物なのだが、身長は150㎝程度とクロスよりも頭ひとつ分くらい大きく、その外見は12歳くらいの子供に見えるのだが、中身はおそらくは20歳前後と、こちらもやっぱり外見詐欺なのであろうと思われる。


●アーノルド【人物名】


 クロスがこの街で初めて出会った人物で、それ以来色々と面倒を見てくれている。

 冒険者ギルドにおいては古株で重鎮の一人であり、ギルドマスターからの信任も厚く、新人教育係に任命されており、冒険者としてはド新人(しろうと)だが色々と期待値も大きい有望株なクロスのことを色々と気にかけているようだ。

 年齢が近い上に同種族と思われるクロウとクロスでペアを組ませようとする事が多く、そんな二人によく食事をおごらされている。(特にクロウにタカられている模様)

 ギルドのランキングはCランクで熟練者(ベテラン)として周囲から扱われている。種族は人間で身長は180㎝程度。筋肉質な痩せ型で、年齢は見た目通りの三十路男。ただし、独身。口は悪いが面倒見は良いといった、なかなかの好人物で顔の作りも悪くないはずなのに、なぜ未だに独り身であるのかは謎である。




●クロスロード【都市名】


 物語の舞台となる大陸最大の都市にして王都。

 大陸南部の沿岸部にほど近い場所に存在していて、海岸線沿いに広がっている東西の交易路の中継点となっている。また、大陸の中央部から北部に向かって広がっている北の辺境域へと通じる街道もつながっているため、大陸の主要な交易路のすべてが十字に交差する場所となっており、それが名前(十字路)の由来になっている。なお、街の南側にはサウスポート港があり、ウェストエンド港と海路で繋がっている。


 クロスロードは大陸における貿易の中心地であり、数多く存在している文化と人種の坩堝であり、大陸最大級の規模を誇る地下深くに伸びる天然の大洞窟<大迷宮>と、天に向かって真っすぐに伸びる巨大な塔<バベル>の両方すらも内包してしまう巨大都市でもあり、大陸で最も規模、そして人口の多い大都市である。


 ◯大迷宮


 大陸最大級の地下迷宮(ダンジョン)で、未だ最深部まで到達した者はいないとされている。クロスロードの街の南西に存在しており、町の中央に存在する王宮を挟んでバベルの真反対の位置に存在している。

 入り口は国立公園に指定された深い森の中央付近に存在しており、その周囲を取り囲んでいる森を更に壁で囲んで街から隔離している。

 天然の巨大な地下空洞による迷宮のため、壁などによって明確に階層が分かれていないのだが、便宜上、敵があまり強くない『上層』。中型から大型の敵が増えてくる『中層』。大型の幻獣や巨人が我が物顔で跋扈している『下層』。未だ誰もまともに探索など出来ていないが、存在だけは何度か確認されている狂気に満ちた悪魔どもの棲家『最下層』と、大まかに四段階に分類分けされている。なお、明確に壁や階段によって階層が区切られていないため、稀に地下からとんでもない怪物が上層に上がってくる事もあり、その際には多数の『不幸が事故』が引き起こされてきた。森を壁で覆っているのは、そういった事情から。


 ◯バベル


 天に向かって真っ直ぐ伸びる巨大な塔で、その最上階は雲の上に存在している。その最上階は白銀(プラチナ)の鱗をもつ銀の天空竜(シルバードラゴン)が住処にしており、別名で『天空竜の塔』とも呼ばれている。

 クロスロードの街の北東に存在しており、町の中央に存在する王宮とセットで街の住人たちから良い目印扱いされている。


 かつてはバベルと大迷宮を結んだ直線の中央あたりに王宮があり、その周囲を城壁(現在の第二城壁)で囲んでいただけの城塞都市だった。人が増えてくるにつれ、壁の外側にまで人が溢れ、そこに新たな街が広がっていき、必要に応じて第二の城壁を築いた事で、それによって二つの迷宮を囲い込むに至って、今の街の姿になった。


 ◯東区


 町の城壁の東門に面したエリア。

 東門から伸びる道の先にはイーストレイク方面に続く交易路がある。クロスが働いている教会は南区にほど近い東区の外れにあり、その近くに冒険者ギルドや無数の鍛冶屋、武器・防具・各種雑貨などを扱っている店などが立ち並ぶ職人街が存在している。


 ◯北区


 町の城壁の北門に面したエリア。

 大陸の北側は未開の部族が多数生活している荒野につながっているせいか、北門付近は比較的治安も悪く、多くの冒険者がこのエリアに住居を構えていて、自分たちの住処への干渉を嫌ったのか自警団的な活動も行なわれている。

 壁の外にはバラックが群れをなしていて、悪名高い貧民街(スラム)がひろがっている。なお、北門の近くにクロウの住処があったりする。


 ◯西区


 町の城壁の西門に面したエリア。

 ウェストエンド方面に続く交易路があるため西区は非常に活気があって賑やかである。交易品などを扱う豪商や交易商、大商人などは大半が街の西側に居を構えている。南西には国立公園と大迷宮があり、その付近には新興住宅地が立ち並んでいて成功して引退した冒険者などは、こちらのほうに移り住んだりしている。


 ◯南区


 南門に面したエリア。

 街の南には港町サウスポートがあって、そこに続く道がある。ウェストエンドと海路が繋がっており、大陸でも有数の規模の大きな港があって、日々荷物が行き来している。


 ◯中央区


 町の中央は第二の城壁で周囲と区切られていて、そこは他のエリアと比べて土地も一段高くなっている。東西南北に内門があるが、そこを通ると富裕層の住処、いわゆる高級住宅街となっており、主に貴族や高級官僚といった裕福層、王族などの特権階級層の住処があり、その中央に巨大な王宮が存在している。




●イーストレイク【都市名】


 本来は大陸の東にある大きな湖の名前だったのだが、いつしか湖畔に広がる街のことをイーストレイクと呼ぶようになっていた。大陸東では最大の規模を誇る街であり、ヘレネ教の大規模な教区があり、クロスが育った教会運営の孤児院もここにある。


●ウェストサイド【都市名】


 ウェストエンドからクロスロードの大陸西エリアにおける交易ルートの中間地点にあたる場所に位置する商業都市であり、町外れには大量の倉庫が立ち並んでいる。ウェストエンド方面から入ってくる品の量とクロスロード方面に出て行く品の量を調整することにより、物資が過不足なく、また供給バランスの崩れから価格の急激な変動が起こらないように常に品物がバランスよく安定供給されるように流通量をコントロールする役割を負っており、別名で調整都市と陰口を叩かれることもある。


●ウェストエンド【都市名】


 大陸の西の端にある港街であり、他大陸との交易を行なっている大陸最大の貿易港を抱える貿易商の街である。古来より他大陸との交易によって栄えた街であったが、この街にクラリック商会の本店があったことで文化的革命の発信地となり、それはウェストエンドの奇跡と呼ばれる事になった。


 ◯クラリック商会


 古くから雑貨などを扱う老舗の商会であったが、一人の不世出の天才発明家を生み出したことで、ここ十数年の数々の文化的革命の震源地となった。今や世界でも類を見ない規模の大商会であり、大陸で流通する殆どの雑貨や小物、アイテム類はクラリック商会絡みの品であると思って良い。






●教会【組織名】


 大陸には無数の宗教が存在しているが、そんな中で国教と定められ最大の勢力を誇るのが愛と喜びを司る美の女神ヘレネを祀るヘレネ教である。

 一応、国教は決まっているが、それが原因で他宗教が弾圧されるようなことは無く、人々には信仰の自由が認められている。そのため、他にも多くの信仰が存在しており、大地と豊穣を司る農業の女神ファトラ、勇気と幸運を司る戦う者の守り男神アレス、知識と真理を司る魔術の神マギ、契約と制約を司る茨の王エレナなどが有名。


 教会組織は治療院の収入と多方面からの寄付によって運営されており、弱者救済の為の様々なボランティア活動や、社会的弱者の生活環境向上のための品物の無償配布、その他、治療師の育成や文字の読み書きなど基礎的な学問の指導など、様々な面での人々への奉仕といった各種功績が認められていて、それだけに地域との結びつきが強いことでも知られている。


 ◯修道士/司祭(牧師)


 教会組織に所属している者は一般に修士や司祭と呼ばれることになり、一級治療師の資格を持つ司祭ともなると独立して教会を任せられる事になるのだが、地方都市や農村などで一級治療師が居ない場合には(居ないことのほうが多いのだが)、二級以下の資格しかない治療師が代表者を務める事になり、そういった人物は司祭ではなく牧師と呼ばれる事になる。そのため、司祭が居ない教区では基本的に蘇生治療を行うことが出来ないので、その教区では原則として死んだらそれまでということになる。


 王都にあるような司祭が複数いるような規模の大きい教会では司祭をまとめる司祭長が教会の代表を務める他、王都の中央エリアにある教会本部や大聖堂には、教会組織の幹部にあたる主教や大主教や枢機卿といった雲の上な人々がいたりするのだろうが、本作においてはあまり関係はないはずなので、とりあえず深く考えないでOKだ。


●治療院【施設名】


 治療師の仕事場であり怪我をした者が運び込まれてくると身分相応の対価を『お布施』として収める事で治療魔法をかけてもらえる。

 治療費(お布施)は怪我の大きさや手間のかかり方、相手の資産の有無などによって変動し、多くの場合において事務担当の者によって計算され、司祭の最終調整(人によって増やしたり減らしたりする)を経て、さほど負担でないと感じるだろうレベルで徴収されることになる。

 なお、治療費の踏み倒しは犯罪扱いされ、いつまでも払わない場合には犯罪者として処罰されてしまうが、何かしらの事情があった場合などは司祭の裁量によって教会への奉仕活動などによって穴埋めさせることが許されている。


●治療師【職業名】


 教会に所属する修道士は聖職者であるだけでなく治療師であることも求められ、日々、高度な治療魔法を扱うための座学を学んだりして修行を積んでおり、最終的には一級治療師資格を得るための条件となる大魔法『死者蘇生』を修める事を目標としている。死者蘇生を修め、一級治療師の資格をもつ司祭となると教会を任されることになり、その地域の守り神となるべく残りの人生を捧げる事になる。


 そういった求道者的な生き方を選んだ修士系治療師とは別に、再生治療を行える事が条件の二級治療師を最終目標として日々腕を磨いている独立系治療師も多数存在しており、そういった人物は教会と契約して治療院で治療行為を行うことで対価を得ているのだが、修士と違って教区の移動に特に制限などもないため、一つの教会に縛られることはなく自由気ままに所属先を変えたりすることが出来るようになっている。

 そういった独立系治療師も教会の治療院を主な仕事場所として活動しているのだが、彼らにとっては教会での仕事の方は副業であり、本業は多くの場合には冒険者であり、教会の外で治療魔法によって仲間を救う事が主な仕事となっている。


 なお、地方の教会で牧師を務める者の多くは、怪我や年齢などの理由から引退した元冒険家の独立系治療師達であり、そういった再就職先の斡旋や相談なども教会は行なっているため、少しでも待遇の良い条件の再就職先の情報を求めて、現役のころから教会の治療院で副業を行っている独立系治療師は多い。

 また、彼らは人生を人々への奉仕に捧げる道を選んだ修士系治療師のことを尊敬、あるいは敬愛しており、多くの場合に名前でなく修士、あるいは修士様と呼んだりしている。

 本作でもクロスが仲間から修士と呼ばれているが、あれは尊称であり、そういった呼び方をしている人物たちが独立系治療師であり、本業は冒険者な治療師達なのである。






●人間【種族名】

 他種族の血が混じっていない純血種の者、あるいは他種族の混血率が二割を切ってる者を総じて『人間』と呼んでいる。大陸で最大規模を誇る種族で大半の王族や貴族が人間であるため大陸の支配者層と考えてもいいのかもしれない。なお、混血率はギルドカードなどを作成した際に細かい数値を確認することが出来る。


●亜人/デミヒューマン【種族名】

 多くの場合に人間でない種族の者を指す言葉あったが、近年では他種族の混血率が高い者のことを指す言葉でもあり、その場合には蔑称として捉えられることもある。純粋な人間以外の種族、エルフ族やドワーフ族なども亜人と呼ばれており、亜人の血を色濃く持つ者を総じて亜人と呼んでいる。

 人間の血が混じっていない純粋な亜人以外に対しては蔑称としての亜人、あるいはデミヒューマン(人間もどき)といった使われ方を長らくしてきたが、そういったハーフエルフや◯◯ハーフなどの混血種の亜人達の中でも、特に魔族の血の混じったデーモンハーフは『魔人』と特別な呼び方をされていて、過去には特別に蔑まれ、酷い扱いを受けていた時代もあった。


●魔人/デーモンハーフ【種族名(俗称)】

 黒髪や金色の瞳、縦に割れた瞳、尖った耳、血のように赤い唇、奇妙に整いすぎた容姿、病的に白い肌などは総じて魔族の血を引いている存在の証であり、多くの場合に黒髪を持つ種族は魔人と蔑まれ、特別な扱いを受けて迫害されて続けてきた。

 悪名高き“悪魔狩り”が横行した暗黒時代においては、魔族の血を少しでも引いているというだけで忌避されたり狩りだされたりして、激しい拷問を受けた上で惨たらしいく殺されるという暗黒の時代があった。

 これは魔族の血の恩恵であるとされている際立って美しい容姿と比較的強い肉体、そして極めて高い魔力関連の能力をもつ種族である魔人への忌避感と、その裏側にある単純な僻み、妬み、恐れなどが原因とされている。

 近年、亜人の中でも特別に強い魔力をもった魔人の存在価値が見直されてきており、あからさまな迫害や弾圧は極力控えるよう国を挙げて指導されており、教会も積極的に魔人を内部に取り込んで、魔人や亜人は人間にとって敵ではなく、特別に役立ってくれる有り難い種族であると周知させようと努力している。


●魔族/悪魔

 人間(亜人を含む)を誘惑し堕落させる邪悪な存在として、大陸における全ての宗教の教義において『絶対悪』と位置づけられている“神の敵対者”であり“総力をあげて滅ぼすべき者たち”である。そのため“魔族を狩る”またはそれに準ずる行為に協力する事は、王国民の“聖なる義務”とされており、魔族を崇めたり、その力を振りかざしたり、その教義に触れたりした人間は『異端者』と認定されて問答無用で宗教裁判にかけられることになる。なお、“悪魔狩り”への協力は“絶対の義務”とされており、それに逆らうだけで犯罪者扱いされることになる。



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