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ひとまず
寝たリュイをよしよし、とあやしながら大人の水妖を呼び、
「ここで人間を捕らえたと聞いた、それを私にくれないか。生きたままで。あなたたちは、草食だし人間ここに必要ないでしょう。」
と相談を持ちかける。
「・・・。はい。人間捕らえてます。我々に必要な物では、ありません。しかし、我々は、“ルリィ様”を“ルミ様”を殺した人間を怨んでます。何もせず返すわけには、我々海の戦士の海の血がおさまりません。」
・・・・。下を向く。
ルリィ様とルミの名前をここで聞くとは・・・。
おもわず、熱い水が・・・・涙がこみ上げる。
必死で涙を我慢し顔を上げる。
「私も、恨みはある。人間に、しかしそれでは、ない。無関係のものを殺すのは、誇り高い海の戦士の水妖の誇りを汚すものではないか。それは、人間と同じではないのか。」
心にもないことをいう。
「そ、それは」と言葉に詰まる。
「私も怨みはあるもの。死なない程度に 傷を治しそのときの記憶を消すというなら 痛みを与えてもいいわ。」
「ほんとうですか。」と喜ぶ水妖をみながら
リュイのつやつやとした髪をなでる。