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水妖の海
先生がつぶやくように
「柵の向こう」という。
「もしかして、水妖の海?」思わず問う
恐れた表情でうなずく先生と
おもわず、口が緩みそうになるのを、必死でこらえる私。
「わかりました。」
と一言、母様のかたみである水をはじくチョーカーを
首からはずし腕に巻く。
そのまま海に向かって歩いていく。
パッチャン
海の水を操り
首にある―――いつもは、チョーカーで隠してある
“逆鱗”と呼ばれる蒼い鱗に
水をかける。
足が尾びれになる。
そのまま水に体を任せ
一息で1km先の柵まで泳ぐ。
柵を乗り越え
水妖の海まで行く。
海の民の眷属たる“妖” 水妖
人に対して悪意をもつが
海の民に対しては、好意どころか、熱愛をもつ
・・・。お茶勧められていいのだろうか?