第七話:交易都市・奴隷市場への潜入
交易都市グラン・バザールは、砂漠の果てに輝く黄金の迷宮だった。
セレナは埃っぽい街道を抜け、巨大な門をくぐった。
旅はすでに四日目。
身体は限界に近かったが、呪いの衣装は彼女に休息を与えてくれなかった。
これまで森の魔物、村での屈辱、エルフの里での儀式……すべての出来事が、彼女の心と身体に深く刻まれていた。
門をくぐった瞬間、再び呪いが発動する。
「――っ……!」
熱い波が全身を駆け巡り、元の衣装が一瞬で変形した。
黒い革の厳ついボンデージ姿へと変わる。
首には重い革の首輪が現れ、鎖が胸元を飾るように垂れ下がった。
身体は異様に強調され、動きを制限するように締め付けられる。
腰回りは固く固定され、まるで逃げられない人形のように。
「こんな……こんな姿……!」
セレナは慌てて身体を隠そうとしたが、呪いの力で腕が思うように動かない。
首輪の鎖が引き、姿勢を強制的に前に突き出す形に固定されてしまう。
市場の喧騒の中、異様な姿はすぐに人々の注目を集めた。
「なんだ、あの娘……奴隷か?」
「首輪付きだぞ。高級な品種だな……」
商人や通行人たちの視線が一斉に刺さる。
好奇と欲望が入り混じった目。
セレナは顔を真っ赤にし、逃げ出そうとしたが、すぐに屈強な男たちに囲まれた。
奴隷商人の用心棒たちだった。
「迷子か? お嬢ちゃん、こんな格好でうろついてたら危ないぜ」
一人がセレナの首輪の鎖を掴み、ぐいっと引き寄せる。
鎖が身体に食い込み、羞恥と恐怖で震えが走った。
「や、やめて……!」
「へぇ……声もいいな。こりゃあ、いい値がつきそうだ」
セレナは必死に抵抗したが、呪いの衣装が身体を勝手に動かし、逃げる力を奪っていく。
男たちは笑いながら、彼女を奴隷市場の奥へと連行した。
市場の中央、競売台の上。
セレナは鎖で両手を高く吊られ、身動きの取れない姿勢で晒されていた。
数百人の観客が、好奇の目で彼女を見つめる。
「次は特別品! 人間の王女級美女、首輪付きの豪華ボンデージ姿! 見た目も上等、気品もある極上の品だ!」
競売人が大声で叫ぶ。
セレナは涙を浮かべながら首を振った。
「ち、違います……私は……!」
だが、誰も耳を貸さない。
入札が始まり、金額はみるみる跳ね上がっていった。
「五万ゴールド!」
「十万!」
「五十万!」
「百五十万ゴールド!」
最終的に、黒いマントを羽織った貴族風の男が落札した。
三百五十万ゴールドという破格の値だ。
「この娘は俺のものだ」
男はセレナの鎖を掴み、そのまま自邸へと連れ帰った。
貴族の館の地下室。
豪華だがどこか冷たい部屋。
セレナは天井から吊るされ、貴族の友人や使用人たちが見守る中で、厳しい「調教」
が始まった。
貴族は細い鞭を取り、セレナの白い肌に軽く打ちつける。
「ひゃっ!」
痛みよりも、恥ずかしさと無力感が心を支配する。
観客たちの視線が突き刺さり、セレナはただ震えるしかなかった。
「どうだ、奴隷。
皆に見られるのは嫌か?」
「嫌です……恥ずかしい……!」
それでも呪いの衣装は、彼女の身体を勝手に反応させてしまう。
心は拒絶しているのに、身体が熱を持ち、息が乱れる。
何度も屈辱的な試練を繰り返され、セレナは次第に抵抗する力を失っていった。
夜ごと続く、厳しい調教の日々。
鞭による痛み、拘束による無力感、衆目の前での羞恥。
セレナの心は少しずつ、壊れそうになりながらも、何か別の感情が芽生え始めていた。
「……見られるのが……怖いのに……」
涙を流しながら、彼女は小さく呟いた。
心の奥底で、微かな、説明のつかない疼きが広がり始めていた。
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