第四話:村での一夜・村民たちの試練
森を抜け、夕暮れの街道をよろよろと歩き続けたセレナは、ようやく小さな村の灯りを見つけた。
すでに三日目の夜。
盗賊団に捕まり、一日中驚かされた身体は限界に近かった。
それでも、呪いの布は容赦なく彼女を苛み続けていた。
歩くたびに細い紐が肌に触れ、不快な締め付けが走る。
恥ずかしさと疲労で顔が熱くなり、足取りが重くなる。
「もう……限界……」
セレナは村の入り口で膝をついた。
村人たちが松明を手に集まってくる。
最初は不審げだった視線が、彼女の姿を捉えた瞬間、驚きと心配に変わった。
「……なんだ、あの女……」
「ほとんど服が……大変な格好だな……」
ざわめきが広がる。
セレナは必死にマントを握りしめたが、すでに遅かった。
紐状の布は身体を不自然に強調し、動きにくい姿になっている。
村長らしき壮年の男が前に出て、セレナを見下ろした。
「旅人か? こんな時間にこんな格好で……宿を求めるなら、金はあるのか?」
セレナは震える声で答えた。
「……お、お金は……持っていません……でも、宿を……一晩だけ……」
村長の目が少し細くなる。
ゆっくりとセレナの姿を見て、困ったように笑った。
「金がないなら……仕方ないな。村の掟で、旅人は宿代を払うか、村の皆に少し手伝ってもらうかだ」
周囲の男たちがどよめく。
セレナは顔を上げ、恐怖と恥ずかしさに目を見開いた。
「そ、そんな……!」
「心配するな。ただ、少し村の仕事を手伝ってもらうだけだよ」
セレナは首を振った。
だが、呪いの布が脚を少し絡ませ、立ち上がることさえ難しくなる。
村人たちは優しく彼女を取り囲み、広場へと連れていった。
村の中央、松明が赤く揺れる広場。
中央に粗末な台が置かれ、セレナはそこに座らされた。
両手は軽く縄で結ばれ、動けないようにされる。
紐状の布はほとんど意味をなさず、身体全体が不快に締め付けられる。
「見ろよ、みんな! こんな旅人が村に来たんだぜ!」
村長が大声で言うと、村人たちが一斉に集まってきた。
男も女も、老いも若きも、好奇と心配の目でセレナを見つめる。
「ひっ……見ないで……お願い……!」
セレナは泣きながらお願いした。
村長は彼女の肩に手を置き、優しく撫でる。
「あぁ……!」
ただ肩に触れられただけなのに、全身が熱くなり、不快感と恐怖が一気に押し寄せる。
「ほら、見ろよ。顔が赤くなってるぜ」
村長はセレナの肩を優しく支え、落ち着かせようとする。
村人たちは驚きながらも、順番にセレナの周りに集まる。
一人が手を差し伸べ、もう一人が背中を支える。
セレナの身体は、次第に温かさに包まれていく。
「あぁ……だめっ……また、こんな……!」
何度目かの不快な熱さ。
観衆の前で身体が震え、心が締め付けられる。
「恥ずかしい……こんなところで……みんなに見られて……」
セレナは泣きながら呟いた。
だが、心の奥底で、別の声が小さく響く。
(どうして……こんなに温かい気持ちになるの……?)
痛みと恥ずかしさの中で、村人たちの視線が、意外にも優しく彼女を包み込む。
「もっと……見て……私の、こんな姿を……」
小さな囁きが、セレナの唇から漏れた。
夜が更ける頃、セレナはぐったりと台の上に横たわっていた。
全身が汗と疲労でいっぱいになり、身体は力が抜けきっていた。
村人たちは満足げに散っていった。
セレナは震える手で身体を抱きしめた。
「私……もう、普通には戻れない……」
涙を拭い、セレナは闇の中へと消えていった。
旅は、まだ続いていた。
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