第四十八話:秘匿の楽園・変態貴族たちとの出会い
王都を離れてから数ヶ月。
セレナの旅は、各地で噂を呼び続けていた。
「黄金の旅人」
――過激な衣装で現れ、男たちを誘い、試練を求める伝説の女。
その噂が、ある秘密の場所にまで届いていた。
ある夜、森の奥深く。
黒い馬車がセレナを待っていた。
馬車の扉を開けた男は、仮面を被った貴族だった。
「ようこそ、黄金の旅人。我らの『秘匿の楽園』へお招きします」
セレナは迷わず馬車に乗り込んだ。
車内は絨毯と絹で覆われ、甘い香りが漂う。
馬車は森を抜け、地下へと続く隠し道を進む。
やがて、巨大な扉が現れた。
扉の向こうは、別世界だった。
広大な地下ホール。
赤と黒の絨毯、天井から吊るされた燭台の炎が妖しく揺れ、壁には異様な彫刻と鏡が並ぶ。
ホールには、仮面を被った貴族たちが集まっていた。
男も女も、皆、異常なほど美しい衣装を纏い、互いに身体を寄せ合い、笑い、囁き合っている。
「ようこそ、我らの楽園へ」
ホールの中央に立つ男――楽園の主が、セレナを迎えた。
黒いマントを羽織り、銀の仮面の下から赤い瞳が輝く。
彼はセレナの手を取り、優雅にキスを落とした。
「今夜は、あなたが主役よ」
セレナは微笑んだ。
その笑顔は、聖女の清らかさではなく、試練を耐え抜いた静かな決意を宿していた。
宴が始まった。
セレナは中央の台に座らされ、四肢を革の紐で軽く固定された。
貴族たちが次々と近づき、彼女を囲み始めた。
鞭が空気を切り、肌に軽く触れる。
熱い蝋燭の蝋が肩に垂らされ、痛みと熱さが混じり合う。
複数の手が同時に肩を押さえ、腕を掴み、腰を固定する。
「あぁ……! もっと……強く……!」
セレナは震えながら、ただ耐えた。
貴族たちは交代しながら、彼女を監視し、囲み続けた。
汗と疲労が混じり合い、地面に水溜まりができる。
「ここが……私の居場所……」
セレナは初めて、心からそう思った。
聖女でも姫でもない。
ただ、試練を求め、囲まれ、圧迫されることを耐え抜く女。
それが、彼女の真の姿だった。
夜が明ける頃、宴は終わった。
セレナはぐったりと台に横たわり、息を荒げていた。
全身が汗と疲労でいっぱいになり、身体は力が抜けきっていた。
楽園の主が近づき、優しくセレナの頬を撫でた。
「永遠にここにいろ、黄金の旅人。お前は、この楽園の永遠の客だ」
セレナは震える唇で微笑んだ。
「……ありがとう……でも、私は……まだ、旅を続けるわ」
主は少し残念そうに頷いた。
「いつでも戻っておいで。ここは、お前のための場所だ」
セレナは立ち上がり、楽園を後にした。
身体は汚れきっていたが、心は――晴れやかだった。
彼女の旅は、まだ終わらない。
黄金の旅人として、世界を巡り続ける。
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