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聖女の呪縛 ~露出の呪いで穢され堕ちた王女の末路~  作者: 華咲 美月


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第四十二話:聖女認定式の再挑戦・儀式中の異変

 王都エリュシオンの神殿は、荘厳な光に満ちていた。

 純白の大理石の床、黄金の装飾が施された祭壇、天井から降り注ぐ柔らかな陽光。

  王国中から集まった貴族、民衆、聖職者たちが息を呑んで見守る中、セレナは再び祭壇の中央に立った。


 純白の聖衣を纏い、長い金髪を優雅に結い上げ、碧い瞳を静かに閉じる。

 胸元は控えめに閉じられ、腰回りは優しく流れ、身体を完全に隠している。


 普通のドレス。


 普通の聖女の姿。

  王国は、彼女の功績――悪魔ベルゼフォンの討伐と呪いの解除――を認め、改めて聖女認定式を挙行したのだ。

  「女神よ……どうか、私に光を……」

  セレナは祈りの言葉を捧げ、両手を胸の前で組んだ。

  祭壇の中心に、巨大な水晶が浮かび上がり、聖なる光が徐々に強くなる。


 光はセレナの身体を包み込み、純白の聖衣を輝かせる。


 民衆の歓声が上がる。

  「聖女様……!」


「王国に祝福を!」

  だが、その瞬間――光がセレナの肌に直接触れた。

  「――っ!」

  激しい熱が、身体の奥底から爆発した。

  淫魔の残滓。


 ベルゼフォンから注がれた魔力。


 無数の試練で染み付いた穢れ。


 それらが、聖なる光に反応し、暴走を始めた。

  聖衣が、勝手に蠢き始める。

  胸元が少し開き、肩の輪郭が露わになる。


 布地が溶けるように薄くなり、腰回りの裾が短く縮み、太ももが大胆に露出する。


 腰を固定する紐が細く変化し、身体を強く締め付ける。

  「いや……! だめっ……!」

  セレナは慌てて両手で胸を押さえ、祭壇の上で膝をついた。

  聖衣はさらに変形しようとし、肩が布地を突き破り、腰が締め上げられる。


 汗が溢れ、裾を濡らし、聖衣の端を汚す。

  「セレナ姫!?」

  父王の驚きの声。


 母后の悲鳴。


 アルベルト王子の叫び。

  神殿全体が騒然となる。

  セレナは震える手で聖衣を押さえ、必死に耐えた。


 だが、身体は震え続けていた。


 聖なる光に触れた瞬間、不快な波が爆発的に蘇り、息が詰まる。

  「……私は……聖女に……相応しくない……」

  セレナは涙を流しながら、宣言した。

  「この身体は……もう、清らかではありません……試練に染まり、無力感に溺れ……聖女になる資格など、失ってしまいました……」

  神殿が静まり返る。

  民衆の歓声が止まり、貴族たちのざわめきが広がる。

  セレナはゆっくりと立ち上がり、祭壇から降りた。


 聖衣は元の形に戻りかけていたが、彼女の瞳はすでに――静かな決意を宿していた。

  「王国を救ったのは、私の力ではありません……ただ、試練に耐え抜いただけ……」

  彼女は深く頭を下げ、宮殿の出口へと歩き出した。


 両親の悲しげな視線。


 アルベルト王子の絶望的な表情。


 民衆の困惑。

  すべてが、セレナの背中に突き刺さる。


 だが、彼女は振り返らなかった。

  聖女になる道は、閉ざされた。


 しかし、彼女の身体は、もう普通の幸せを求めていなかった。

  セレナは、王都の門をくぐり、外の世界へと消えていった。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

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