第三十八話:決戦終盤・ベルゼフォンの真の姿
玉座の間は、もはや戦場ではなく、狂気の坩堝と化していた。
セレナの淫聖の剣が閃き、ベルゼフォンの影のような触手を切り裂く。
だが、淫魔の王は笑っていた。
その笑みが、徐々に歪み、巨大な闇へと変わっていく。
「よくやった……セレナ。だが、ここまでだ」
ベルゼフォンの身体が膨張し始めた。
黒紫の魔力が爆発し、肉体が巨大化する。
身長は十メートルを超え、翼は天井を突き破り、角は雷を呼び込むように鋭く伸び、肌は黒い鱗に覆われる。
圧倒的なサイズ差。
その巨体が、セレナを完全に包み込むように覆いかぶさる。
「これが……私の本当の姿だ」
ベルゼフォンの声が、部屋全体に轟く。
巨大な影が、セレナに向かって迫る。
「いや……入らない……!」
セレナは必死に首を振った。
だが、ベルゼフォンは容赦なく影を押し進めた。
「ひぎぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」
焼けるような圧迫感。
身体が限界を超えて広がり、核心が強く押される。
腹が重く、視界が白く染まり、意識が遠のく。
「グオオオ……! 締まりがいい……!」
ベルゼフォンはゆっくりと影を進め、深く沈めていく。
セレナの身体は、巨体の下で小さく震え、不快な波が強制的に引き起こされる。
「あぁぁっ……! 壊れる……壊れちゃう……!」
失神寸前。
視界が暗くなり、意識が薄れる。
だが、その瞬間――胸の奥で、淫聖の力が最後の灯りをともした。
「まだ……終わらない……!」
セレナは震える手で剣を握り直し、淫聖の光を最大限に集中させた。
純白と黒の光が剣先に宿り、輝きを増す。
彼女はベルゼフォンの巨体にしがみつき、最後の力を振り絞って剣を突き刺した。
「――これで……終わりよ!」
光の剣が、ベルゼフォンの魔力核――胸の中心に深く突き刺さる。
「グオオオオオッ!!」
ベルゼフォンが初めて苦痛の声を上げた。
黒紫の魔力が乱れ、巨体が震える。
触手が萎み、幻影分身が消えていく。
「よく……やったな……セレナ……」
ベルゼフォンの声が、弱々しくなる。
巨体がゆっくりと崩れ始め、魔力が霧のように散っていく。
セレナは剣を握ったまま、床に膝をついた。
全身が震え、汗にまみれ、涙が溢れる。
「……終わった……」
形勢は逆転した。
ベルゼフォンの巨体が、光に包まれながら徐々に消えていく。
セレナは震える手で剣を握りしめ、立ち上がった。
「これで……呪いを……解く……」
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