第二話:王都脱出と初めての試練
夜の王都は、昼の華やかさとは違って、裏路地ではひっそりとした静けさに包まれていた。
セレナは黒いマントをしっかりと羽織り、フードを深く被って王宮の裏門を抜け出した。
呪いの衣装はマントの下で、彼女を静かに苛んでいた。
歩くたびに布が肌に擦れ、身体全体が不快に締め付けられる。
息を殺して路地を進むが、足音を立てないように気をつけると、布がさらに肌に張り付き、動きがぎこちなくなる。
「こんな姿で……街を歩くなんて……」
涙がにじむ。
聖女として育てられた自分が、こんな異様な格好で夜の街を進むなんて。
心が締め付けられ、足取りが重くなる。
裏路地を抜けようとしたその時、酒場の裏口から酔った男たちの笑い声が聞こえてきた。
「おい、見ろよ……あそこに女がいるぜ」
五、六人の男たちが、酒瓶を手にふらふらと近づいてくる。
月明かりの下、マントが少しずれて、セレナの異様な姿がはっきり見えてしまった。
布が身体を不自然に強調し、動きにくい格好になっている。
「なんだ……こんな時間にこんな格好で……」
一人が驚いたように声を上げる。
セレナは後ずさろうとしたが、呪いの衣装がまるで意志を持ったように脚を絡ませ、動きを封じる。
膝がガクンと震え、その場にしゃがみ込んでしまう。
男たちは驚きながらも、彼女を取り囲んだ。
「へぇ……すごい格好だな。こんな時間にこんなところで……」
「迷子か? 大丈夫か?」
セレナは必死に首を振った。
「ち、違います……私は……ただ、通りすがりで……」
声が震える。
だが、男たちは心配そうに近づいてくる。
一人がセレナの腕をそっと支えようとした。
その瞬間、彼女の身体がびくんと震えた。
ただ触れられただけなのに、全身が熱くなり、不快感と恐怖が一気に押し寄せる。
「ひゃっ……!?」
「大丈夫か、お嬢さん……?」
男の一人が心配そうに声をかけ、セレナを壁にそっと寄せかけた。
片手で肩を支え、彼女を落ち着かせようとする。
「あぁ……や、やめて……!」
セレナは必死に抵抗するが、身体は震えが止まらない。
肩を支えられるだけで、心臓が激しく鳴る。
「お嬢さん……本当に大丈夫か?」
男たちが心配そうに声をかけ、セレナを優しく支える。
セレナは涙を流しながら、震える声で呟いた。
「……ありがとう……」
彼女は小さく頷き、よろよろと立ち上がる。
心に、微かな温かさと、消えない不安を残しながら。
セレナは男たちに背を向け、夜の闇へと消えていった。
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