第二十一話:悪魔の城前衛・ガーゴイルの監視
山頂を下り、セレナはついに悪魔の城の外郭へと足を踏み入れた。
黒い岩肌に刻まれた巨大な城壁、尖塔が空を突き刺す不気味なシルエット。
夜の闇が濃く、周囲には無数の石像が並んでいる。
ガーゴイル――悪魔の城を守る石の監視者たち。
翼を広げ、牙を剥いた姿で、静かに佇んでいる。
セレナの身体は、すでに限界を超えていた。
呪いの布は破れ、ほとんど身体を覆えず、冷たい夜風が直接肌を刺す。
汗が全身を濡らし、息が乱れる。
「ここまで……来てしまった……」
月が雲間から顔を出し、ガーゴイルたちの石像を青白く照らす。
その瞬間、異変が起きた。
石像の目が、赤く光った。
「侵入者……排除……」
低い、岩を擦るような声。
石像たちが一斉に動き出し、翼を広げて飛び上がる。
セレナは逃げようとしたが、呪いの布が脚を絡ませ、動きを封じる。
ガーゴイルの一体が彼女を空中に持ち上げ、城壁の上に吊るした。
「いや……放して……!」
両手を頭上で石の翼に固定され、脚を大きく開かされる。
身体が宙に浮き、冷たい石の感触が肌を刺す。
ガーゴイルたちは無表情のまま、彼女を取り囲んだ。
硬質の尾が、セレナの肩に押し当てられる。
石のように冷たく、しかし表面は滑らかで、熱を帯びている。
「ひゃっ……! 冷たい……!」
尾がゆっくりと肩を締め付け、腕を固定する。
冷たい石の感触と、内部で生まれる不快な摩擦のギャップが、異常な圧迫を生む。
「あぁぁっ……! 冷たいのに……重い……!」
ガーゴイルたちは交代しながら、尾でセレナを囲み続けた。
一体が尾で肩を押さえつけている間、もう一体が石の爪で腕を掴み、冷たい舌のようなもので耳元を撫でる。
口にも細い尾が近づき、息を塞ぐように覆う。
「んぐっ……! むぐぅ……!」
全身を冷たい石に包まれ、セレナは空中に吊るされたまま震え続ける。
冷たい石の尾が身体を掻き回すように締め付け、異常な無力感が全身を駆け巡る。
「もっと……もっと強く……!」
自ら身体を預け、石の尾を迎え入れる。
無表情なガーゴイルたちに、何体も同時に囲まれる。
冷たい石の感触と不快な摩擦のギャップが、セレナを圧倒する。
「あぁんっ……! もう……!」
身体がびくびくと震え、無力感が広がる。
ガーゴイルたちは疲れを知らず、朝まで彼女を監視し続けた。
夜明けの光が差し込む頃、ガーゴイルたちは満足したのか、セレナを地面に落とした。
彼女はぐったりと岩肌に横たわり、息を荒げていた。
全身が汗と疲労でいっぱいになり、身体は力が抜けきっていた。
「……私……もう、普通の姫ではいられない……」
震える唇から漏れた言葉に、自分でも驚いた。
涙が溢れる。
だが、心の奥底で、微かな諦めが大きくなっていた。
セレナは震える手で身体を抱きしめ、悪魔の城へと歩き出した。
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