第二十話:悪魔の城が見える山頂・ドラゴンとの契約
古代遺跡の最深部を抜け、セレナはついに悪魔の城が見える山頂へと辿り着いた。
切り立った岩肌の頂上は、冷たい風が吹き荒れ、遠くにそびえる黒い城影が闇に溶け込むように浮かんでいる。
空は厚い雲に覆われ、雷鳴が低く響く。
セレナの身体は、遺跡での無数の試練と疲労で限界を超えていた。
呪いの布は破れ、ほとんど身体を覆えず、風が直接肌を刺す。
汗が全身を濡らし、息が乱れる。
「ここまで……来てしまった……」
膝が震え、力なくその場に崩れ落ちる。
悪魔の城はもうすぐそこ。
だが、頂上には巨大な影が待ち構えていた。
古竜だった。
黒い鱗に覆われた巨体、翼を広げれば空を覆うほどの大きさ。
黄金の瞳がセレナを捉え、ゆっくりと首を傾げる。
息遣いが熱く、岩肌を焦がすほどの熱気を放っていた。
「人間の雌……よくここまで来たものだ」
低く響く声が、セレナの全身を震わせる。
古竜はゆっくりと近づき、巨大な爪で彼女の身体を軽々と持ち上げた。
「城へ行きたいなら、契約を結べ」
セレナの瞳が恐怖に揺れる。
だが、呪いの布が脚を絡ませ、逃げることさえ許さない。
古竜の黄金の瞳が彼女をじっと見つめ、熱い息が肌を撫でる。
セレナは震える声で呟いた。
「お願い……助けて……」
古竜は静かに頷き、彼女を地面に下ろした。
巨大な爪が岩を掻き、契約の印を刻む。
熱い風がセレナを包み込み、不快な圧迫感が全身を駆け巡る。
「これで……契約は結ばれた」
古竜は満足げに咆哮を上げ、翼を広げて空へと舞い上がった。
霧のように消えていく巨体を見送り、セレナはぐったりと岩肌に凭れかかった。
全身が汗と疲労でいっぱいになり、身体は力が抜けきっていた。
「……これが……最後の試練……」
セレナは涙を流しながら、静かに微笑んだ。
「でも……もう、普通には戻れない……」
完全に覚悟を決めた。
古竜の熱い息が残る中、セレナは震える手で身体を抱きしめ、悪魔の城へと歩き出した。
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