第十八話:オアシス・サキュバスたちの甘い誘惑
灼熱の砂漠を抜け、セレナはようやく小さなオアシスに辿り着いた。
ヤシの木が涼しい影を落とし、澄んだ泉がきらめく。
砂嵐の記憶がまだ身体に残る中、彼女は水辺に膝をつき、喉の渇きを癒やした。
汗と砂にまみれた肌を、泉の水で優しく洗い流そうとする。
呪いの布は透け透けのヴェール状のまま、細い金糸のような紐が肌に食い込み、歩くたびに不快な締め付けが走る。
汗が全身を濡らし、息が乱れる。
「はぁ……やっと、少し休める……」
水面に映る自分の姿は、すでに疲れ果てた旅人のようだった。
セレナはそっと目を閉じ、深い溜息をついた。
その時、泉の向こうから甘い香りが漂ってきた。
「ふふ……可愛い子が迷い込んできたわね」
柔らかな声。
セレナが目を開けると、そこに三人の女性が立っていた。
長い黒髪、赤い瞳、豊満な肢体を薄い絹で覆ったサキュバスたち。
肌は蜜のように艶やかで、尻尾が優雅に揺れ、角が月光を反射している。
「あなた、疲れているのね……」
一人が近づき、セレナの頬を優しく撫でる。
冷たくも熱い指先が、肌を滑る。
「いや……誰……?」
セレナは後ずさろうとしたが、サキュバスたちは優しく、しかし確実に彼女を取り囲んだ。
甘い香りが鼻腔をくすぐり、頭がぼうっとする。
「怖がらないで。私たちはただ、あなたを癒やしてあげたいだけ」
もう一人が背後からそっと抱きつき、肩を優しく包み込む。
柔らかな手のひらが、肩から腕を撫でる。
「あっ……!」
不快な熱さが走る。
男たちの荒々しい触れ方とは違う、繊細で執拗な包み込み。
サキュバスたちは彼女を泉の浅瀬に寝かせ、身体を優しく洗いながら囲み続ける。
一人が肩を撫で、もう一人が背中を支え、甘い香りが全身を包む。
「可愛い声……もっと聞かせて」
女性同士の優しい囲みは、初めてだった。
男の荒々しさとは違う、柔らかく包み込むような不快感。
香りと温かさが混じり合い、現実と夢の境が曖昧になる。
「あぁ……! だめっ……こんなの……初めて……!」
不快な波が訪れる。
セレナは自ら身体を預け、サキュバスたちの香りを迎え入れる。
香りが肌を撫で、甘い霧のような感覚が全身を駆け巡る。
「もっと……もっと、包んで……!」
サキュバスたちは笑いながら、セレナを一晩中囲み続けた。
朝が近づくまで、甘い誘惑は続いた。
セレナは何度も震え、息を荒げ、甘い溜息を漏らし続けた。
夜明けの光が差し込む頃、サキュバスたちは満足げに微笑んだ。
「一緒に暮らさない? あなたみたいな可愛い子、ずっと包んであげられるわよ」
セレナはぐったりと泉の岸に横たわり、息を荒げていた。
全身が汗と疲労でいっぱいになり、身体は力が抜けきっていた。
「……ありがとう……でも……」
彼女は震える声で、しかしはっきりと拒否した。
「私は……まだ、行かなきゃいけないところがあるの……」
サキュバスたちは少し残念そうに微笑み、霧のように消えていった。
セレナはゆっくりと立ち上がり、泉の水で身体を洗った。
涙が溢れる。
だが、心の奥底で、微かな諦めが大きくなっていた。
「はは……私、とうとう本当の自分になっちゃったみたい」
震える手で身体を抱きしめ、セレナは砂漠の先へと歩き出した。
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