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聖女の呪縛 ~露出の呪いで穢され堕ちた王女の末路~  作者: 華咲 美月


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第十四話:廃墟の古城・亡霊騎士団の夜伽

 沼の冷たい水から這い上がったセレナは、雨に打たれながら森を抜け、ようやく古い廃墟の城に辿り着いた。


 崩れかけた石壁、蔦に覆われた塔、雨水が流れ落ちる中庭。

  かつては壮麗だったであろう城は、今や朽ち果て、霧と闇に包まれていた。


 雷鳴が轟き、激しい雨が降り注ぐ中、セレナは中庭の奥に残る半壊した大広間に逃げ込んだ。

「はぁ……はぁ……」

  全身がびしょ濡れで震えていた。


 葉を模した布は雨で重く張り付き、身体を不快に締め付ける。


 冷たい雨が肌を刺し、身体が凍える。


 だが、呪いの影響で不快な熱さが止まらず、息が乱れる。

「もう……ここで、休みたい……」

  セレナは崩れた壁に凭れかかり、目を閉じた。


 疲労と寒さで意識が遠のく。

  その時、冷たい風が吹き抜け、青白い光が広間に広がった。

  「……姫君……」

  低い、響くような声。


 セレナは目を開けた。

  そこには、透明な鎧を纏った亡霊騎士たちが立っていた。


 十数体。


 かつてこの城を守った騎士たちの霊魂。


 兜の下の顔は骸骨のように白く、瞳だけが青白く光っている。

「ようやく……我らの姫君が……」

  亡霊たちはゆっくりと近づき、セレナを取り囲んだ。


 冷たい手が彼女の頬をそっと撫でる。

  触れられた瞬間、身体がびくんと震えた。

  「ひゃっ……! 冷たい……」

  だが、その冷たさはすぐに不快な圧迫感に変わる。


 亡霊の手は透けているのに、確実に肌に触れ、肩を優しく包み込む。

  「あぁ……!」

  セレナの身体が震え、腰がわずかに揺れる。

  亡霊たちは静かに、しかし執拗に彼女を囲み続けた。


 冷たい風が首筋を這い、耳元で囁く。


 肩を撫で、腕を絡め、腰を支える。


 不快な冷たさと霧のような感触が混じり合い、現実と夢の境が曖昧になる。

「いや……やめて……!」

  抵抗する声は弱く、身体は震え続ける。


 冷たい影のような手が、身体を優しく締め付け、動けなくする。

  亡霊の一人がゆっくりと近づき、セレナをじっと見つめる。

  「姫君……我らの奉仕をお受けください……」

  亡霊の影が身体を包み込み、冷たい圧迫が全身を支配する。


 セレナの身体がびくんと仰け反り、息が詰まる。

  「ひぎ……! 冷たいのに……重い……!」

  亡霊たちは疲れを知らない。


 交代しながら、次々と彼女を囲み、押さえつけ続ける。


 冷たい風が身体を撫で、霧のような感触が肌を這う。


 不快な締め付けが繰り返され、意識が遠のきそうになる。

「もっと……もっと強く……!」

  小さな声が漏れた。


 セレナはもう抵抗せず、自ら身体を預けるようにしていた。

  朝まで続く夜の試練。


 亡霊たちは疲れを知らず、セレナを朝まで囲み続けた。


 彼女の身体はびくびくと震え、無力感の波が止まらない。

  夜明けの光が差し込む頃、亡霊たちは霧のように消えていった。


 セレナはぐったりと石の床に横たわり、息を荒げていた。

  全身が雨と疲労でいっぱいになり、身体は力が抜けきっていた。

  「もう、普通の幸せなんて……いらない。

 この冷たさが、私を包んでくれるなら、それでいい……」

  震える唇から漏れた言葉に、自分でも驚いた。


 涙が溢れる。


 だが、心の奥底で、微かな諦めが大きくなっていた。

 セレナは震える手で身体を抱きしめ、廃墟の城を後にした。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

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