表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【マグナギア無双】チー牛の俺、牛丼食ってボドゲしてただけで、国王と女神に崇拝される~神速の指先で戦場を支配し、気づけば英雄でした~  作者: 月神世一
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/18

EP 8

ログインしたら、首都が燃えていた

 その日の夜。

 俺は自宅のアパート(家賃2万5千円、壁薄め)で、優雅なひとときを過ごしていた。

 机の上には、テイクアウトした『牛丼太郎』の牛皿。

 手元には、メンテナンスを終えてピカピカに磨き上げられた愛機『シャドウ・ウォーカー』。

「ふふっ……完璧だ。この関節の滑り具合、ドワーフの技術長が見たら泣いて喜ぶぞ」

 ニヤニヤしながら箸を伸ばした、その時だった。

 枕元に置いてあった『G.G.社』支給の専用通信機(スマホ型)が、けたたましいアラート音を鳴らした。

『緊急警報! 緊急警報! 対象プレイヤー:牛太。直ちにログインしてください!』

 画面には真っ赤な文字で**【EMERGENCY QUEST】**と表示されている。

「おっ? ゲリラクエストか?」

 俺は箸を置いた。

 最近、テストプレイが順調すぎて暇していたところだ。

 運営タロウさんも、飽きさせないようにイベントを用意してくれたらしい。

「了解。ちょうど腹も満たされたところだ。消化運動といきますか」

 俺は通信機を掴み、アパートを飛び出した。

 向かうは王都の地下、秘密の軍事施設へ。

 ◇

「来たか牛太君!!」

 司令室に飛び込むなり、タロウさんが血相を変えて駆け寄ってきた。

 いつものジャージ姿ではない。王としての正装、そして顔には脂汗が浮かんでいる。

「遅いぞ! 状況は最悪だ!」

「こんばんは。タロウさん、演技ロールプレイ気合入ってますねぇ」

 俺は感心した。

 さすが一国の王が運営するゲームだ。NPCの切迫感が半端ない。

「状況説明を。ブリーフィングは?」

「モニターを見ろ! これが『現実』だ!」

 タロウさんが指差した巨大スクリーン。

 そこには、地獄絵図が映し出されていた。

 夜の王都。

 その大通りを、異形の機械獣たちが我が物顔で蹂躙している。

 建物が燃え、人々が逃げ惑う。

 爆発のエフェクト、崩れ落ちる瓦礫の物理演算。あまりにも高精細なグラフィック。

「うわ、すっげ……。これムービーじゃないんですか?」

「違う! 現在進行形の映像だ! 敵は『狂気の科学者』Dr.ドグマが放った自律兵器群『キメラ・ギア』だ!」

 ドグマ。

 確か設定資料にあった敵キャラの名前だ。マッドサイエンティストで、違法改造チートを繰り返す悪役。

 なるほど、今回のイベントボスか。

「騎士団は!? ガレス隊長たちは何してるんですか?」

「出撃したが……ダメだ! 敵の性能が違いすぎる! すでに半数が撃破された!」

 画面の隅で、以前俺がボコった白銀の騎士ロボットが、敵の黒い触手に貫かれて爆散するのが見えた。

 やられモブとしての仕事ご苦労様です。

「牛太君! 頼む! この『悪夢』を終わらせられるのは、君の操るメガ・ギアだけだ!」

 タロウさんが俺の両肩を掴む。その手は震えていた。

 熱い。熱い展開だ。

 俺の中に眠るゲーマー魂が疼き出す。

「任せてください。……『首都防衛戦』、クリアしてみせますよ」

 俺は不敵に笑い、コックピットへと滑り込んだ。

 ◇

 『システム起動。同調率、安定』

 『メインエンジン、出力全開』

 馴染みのオペレーターの声と共に、俺の意識は20メートルの巨人『シャドウ・ウォーカー(改)』へとリンクする。

 視界が開ける。

 そこは、燃え盛る王都のど真ん中だった。

(うわ、熱っ!? 温度センサーのフィードバックもリアルだな……)

 肌を焼くような熱気を感じながら、俺は周囲を見回す。

 敵影確認。

 レーダーには無数の赤い光点。

 目の前には、蜘蛛と戦車を合成したような、気味の悪い多脚型ロボットが群がっている。

『ギシャアアアアアッ!!』

 不快な金属音を上げて、蜘蛛型メカが酸の弾丸を吐き出してくる。

 俺は反射的に操縦桿グローブを操作した。

「……汚ねぇな。マナー違反だぞ」

 スッ。

 最小限の動き(サイドステップ)で酸を回避。

 同時に、バックパックからワイヤーアンカーを射出。

 シュバッ!

 ワイヤーが蜘蛛の脚に絡みつく。

 俺はそのまま機体を回転させ、遠心力で敵をぶん投げた。

 ドガアアアン!

 投げ飛ばされた蜘蛛型メカが、後続の敵部隊に激突し、まとめて爆発四散する。

『す、すげぇ……! 一撃で!?』

『あれが噂の新型機か……!』

 通信回線から、逃げ遅れた騎士団たちの驚愕の声が聞こえる。

 俺は冷静に次弾(弓矢)を装填しながら、戦場をスキャンした。

 敵の数は多いが、動きは単純だ。これなら処理落ちすることなく殲滅できる。

 そう思っていた時だった。

 ズームしたカメラ映像の端に、見覚えのある場所が映り込んだ。

「……あそこは」

 中央広場。

 昼間、リーザが歌っていた場所だ。

 そこには今、避難し遅れた人々が取り残されていた。

 そしてその中心で、子供たちを庇うように両手を広げて立っている、小さな影。

 ――リーザだ。

 彼女の目の前に、巨大なサソリ型のキメラ・ギアが迫っている。

 その尻尾の先端には、禍々しい回転ノコギリが取り付けられていた。

「いやぁぁぁっ!」

 悲鳴が、集音マイクを通じて俺の耳に届く。

 NPCの悲鳴じゃない。

 俺が知っている、あの子の声だ。

「……おい」

 俺の脳内で、何かのスイッチが切り替わった。

 ゲームだとか、イベントだとか、そんなことはどうでもいい。

 俺の『推し』の聖域(ライブ会場)を荒らし、あまつさえ彼女に傷をつけようとする不届き者。

「運営公認イベントの最中に、特定プレイヤーへの粘着行為ハラスメントか?」

 俺の目からハイライトが消える。

 グローブを握る手に、ギリリと力が込められた。

「――BAN(排除)対象だ。一片のデータも残さず消してやる」

 『シャドウ・ウォーカー』のスラスターが青白く発光する。

 俺はリミッターを解除した。

 神速の指先が、怒りという名のコマンド入力を叩き込む。

「いくぞ。……虐殺おそうじの時間だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ