第1話 おはよう。もう朝だよ。起きて。可愛い子どもたち。
小さなロボット六号のこと
おはよう。もう朝だよ。起きて。可愛い子どもたち。
博士! 博士!! 今日もいっぱい遊んでください!!
一号から六号の六人の小さなロボットたち
真っ白な研究所の中をとことこと小さなたくさんの足音が歩いている音が聞こえました。
「いた」
ころんとその中の一番後ろを歩いていた小さなロボットが転んでしまいました。
お揃いの書いてある文字だけが違っている白いお洋服の胸のところに『六号』という文字が書いてある小さなロボット。
六号は小さなロボットのお名前でした。
六号は転んでしまって、泣きそうな顔になっています。
そんな六号のことを一号から五号までのそれぞれの文字が書いてある白いお洋服を着ている五人の小さなロボットたちが「大丈夫?」と声を合わせて言いながら、ぞろぞろと六号のまわりに集まって助けてあげていました。
みんなに助けてもらって、六号は立ち上がって「うん。大丈夫」と言って、笑顔になりました。
それからまた六人の小さなロボットたちはとことこと一列に並んで歩き始めました。
向かっているのはどうやら博士のところのようでした。
人間の子供にそっくりな小さなロボットたちには性別はありませんでした。その姿形はお人形さんみたいに綺麗で美しくて、中性的で、男の子のようにも、女の子のようにも見えました。(実際に小さなロボットたちの性別は中性と呼ばれていました)
小さなロボットたちはみんな同じ顔をしていて、その瞳の色の違いと、着ている服に書いてある何号かの文字だけで、誰が誰なのかを判断することができました。(六つ子みたいでした)
赤、青、黄色、緑色、紫色、橙色の大きな瞳をしている(まるで美しいお人形さんみたいな)小さなロボットたち。
そんな小さなロボットたちは心もそっくりだったのですけど、ちょっとだけ違っているところもあって、個性のようなものも、ちゃんとありました。
元気でやんちゃな子や甘えん坊な子。いたずらっ子や優しい子。恥ずかしがり屋の子やおっとりしている子。
そんな個性があったのです。
転んでしまった六号は橙色の瞳をしているおっとりしている子でした。
ほかの五人の小さなロボットたちよりも、ちょっとだけ行動が遅くて、失敗が多いという特徴がありました。(今も少しだけみんなよりも遅れて、一番後ろを一生懸命、みんなと離れないように頑張ってとことこと歩いていました)




