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第4話 実はフィンランド語わかるんだよね

「おはよう、凪沙くん」

「ん、おはよう」


 朝、ごく自然に、当たり前のように有栖は俺に挨拶をした。


 それに気づいたクラスの男子は、隣の席ずっる、とでも言いたげにこちらを見ている。

 

 普通はというか思春期の高校生ともなると男女の間に壁があって、ましてや知り合って間もない関係で挨拶などできないのだが、そんな壁など有栖は気にせず破壊してしまう。


 価値観の違いなのだろう。

 

 しかし、挨拶から始まる友情があるのかもしれない。友達だから挨拶するのではなく、友達ではないから挨拶をする......。

 凪沙はそう思ったが、凪沙には無理だとその考えを拭った。


 (スマホゲームでもするか、紡木は誰かと喋ってるし)


 凪沙の席は窓際の一番後ろである。だから、没頭してゲームができる(本来はダメなことだが)

 この席が一番の特等席だ。


 (昨日のエルフの性能見ておきたいんだよな)


 昨日の帰り道、紡木を連れてコンビニへ行き、お目当ての白髪エルフを一万円以内で無事当てることができた。

 もっとかかると思っていたがそこはやはり日頃の行いだ。


 しかし当てるだけ当てて育成も何もしていないので、どうせならこの時間を有効活用してやろうと凪沙は思ったのだ。


 そうしていると、有栖が声をかけてきた。


「何してるの?」

「......見ての通りスマホ触っています。はい」


 凪沙は、ひょいと有栖に見えないようにスマホを窓側に傾けた。


 有栖は気になったのか、スマホを覗き込んできた。

 しかしどうにも見られてはならぬような気がしたので、さらにスマホを傾ける。


「むぅ~、あの、見せて?」

「嫌だ」

「個人情報?」

「いや、違うけど」

「あー、えっと日本語でなんて言えばいいんだっけ......あっそうそう、えっちな画像見てたとか?」

「ぶふぉっ......ち、違う違う! 断じて違う!」


 あまりにどストレートに言うものだから少し吹き出して笑ってしまった。

 えっちなものではないが見せたら絶対に引かれるのでやめておこう。


「えー、何?」


 ジト目で有栖は見てくる。


 すると、さらに近づいて覗き込もうとしてきた。

 甘い香りが凪沙の鼻腔を掠めた。


 (あのー、色々近いです......)


 どうやら物理的な距離感も近いらしい。

 

 そんなことに気を取られていると凪沙は手に持っていたスマホを取られてしまった。


「あっ......」

「えっと、どれどれ......」


 (ロック画面に戻っておけば良かった)


 凪沙は右手で額を抑えた。男子なら別に問題はない。

 しかし女子となると流石に心が抉られる。


「し、白髪エルフ......? 何かわからないけど......へ、へー、凪沙くんってこんなの好きなんだー」


 有栖は棒読みと謎の微笑みでさらに心に深傷を負わせた。


「自分から見といてその反応はあまりにも酷いよ!?」


 有栖にはジト目で見られている。しかしなぜかニヤニヤしている。


 (有栖さん......?)


『Vaikka täällä on kauniita tyttöjä. Miksen minä?』

「......!?」


 突然のフィンランド語に凪沙は目をパチパチとさせた。

 (って、いや、聞き間違えじゃないよな? 聞き間違えじゃなければ......っていやいやそうはならないだろ)


「え、なんて?」

「だから......Vaikka täällä on kauniita tyttöjä. Miksen minä? って言ったのよ」

「すう......『ここに美少女がいるのに。私じゃダメ?』じゃないんですよ。有栖さん」

「え!?」


 凪沙はすぐに自分の発言を後悔した。

 (......あ、これ、俺がフィンランド語分からないと思って言ってみよっかなーって思って言ったやつだ。......し、しまった!)


 有栖は顔を真っ赤にしている。


「ふぃ、フィンランド語わかるの?」

「まあ、えっと、はい。多少は」


 凪沙の幼馴染もフィンランド語を喋っていたため、小さい頃から練習をしてきたのだ。

 いつか会った時のために。


 会えるかどうかはわからないが、それでも凪沙はフィンランド語を練習していた。


「......嘘でしょ」

「Vaikka täällä on kauniita tyttöjä. Miksen minä?」

「繰り返さなくていいから! あああああ! 今の発言忘れて!」


 有栖は凪沙の肩をこれでもかと言うくらい揺さぶっている。

 

 凪沙は久しぶりに心から笑った。


 ***

 

「へいへーい、凪沙」


 一限目が終わり、休み時間。紡木が速攻凪沙の席へ押しかけてきた。


 そして凪沙を席から離れさせる。まるで有栖から遠ざかるように


「おい、ど、どうした」

「ふふ、ふふふ」

「......ええ」

「引くな引くな!」


 しかし何やら不敵な笑みを浮かべている紬を見て、凪沙は苦笑するしかなかった。


「......なあ、転校生ってさ。学校の構造知らんだろ?」

「あー、まあ確かに......え、あ、そう言うこと?」


 凪沙はその言葉だけで全てを読み取った。

 紡木は昼休みを用いて、有栖と学校を回り、「わー紡木くんって優しいのね~」みたいなイメージを植え付けようとしているのだ。


「そう言うことだ。この機会に他のライバルたちと差をつけて......一発逆転を狙ってやる!」

「えっと、ぶっちゃけなんでそんなに狙うの?」

「そりゃあれだ。可愛いからだ」

「......」

「そ、そんな目で見ないでくれ!」


 結局、紡木が選ばれるはずもなく女子が校舎案内をすることになった。

 紡木は日和って、話しかけることすらできなかった。


 

 

いや、あの、はい。後書きで8000文字書く人の作品の真似した訳じゃないっすよ?

......はい、ごめんなさい。もうしません。

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