表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/38

第33話 モテない男のモテ期チャンス

「あ、先輩、どうも。お疲れ様です」

「そうだ、昨日あれでできた?」

「はい! おかげさまで! アドバイスありがとうございます!」

「いいよ、全然。また何かあったら聞いてね」

「はい、ありがとうございます......それでは失礼します」


 宮内は一度横にいる紡木に目をやり、凪沙の方へ視線を戻して軽く会釈をして去っていった。


 (めっちゃ良い子や......)


 終業式まであと数日となったこの頃、凪沙は宮内と仲を深めていた。

 たまたま一緒のゲームをしていたということもあり、そこから距離が近くなったのだ。

 しっかりとしている生徒で、先輩へのリスペクトを忘れないでいて友達のように接してくれる。


「あの子誰?」

「後輩、色々あって仲良くなった。慕われるって悪くないよ。部活入ってもよかったな、とか最近思うようになった」

「それは陸上部へ入れという俺への催促か!?」

「そんなつもりはないけど......ちなみに紡木が陸上部入ったらモテると思うよ」

「......それでも俺は入りたくない。部活の時間を将来彼女ができた時のためのデート時間にあてたい」

「それで彼女できなかったら意味ない気がするんだけど」

「......」


 ***


「ここは先輩として奢ってあげよう」

「あ、じゃあ、リブステーキで」

「一番高いメニューを選ぶんじゃない......ってそれでも千円か、安っ」

「流石に冗談ですが、お腹は減っていないので。ですがお言葉に甘えてメロンクリームソーダで」

「ん、わかった」


 最近のファミレスはどの店舗もタッチパネルで操作可能なので便利だ。

 

 (俺も腹減ってないし同じのでいいか)


 メロンクリームソーダを二個注文し、タッチパネルを元の場所に戻した。


「それで話って?」


 凪沙は宮内から話があると言われて放課後一緒にファミレスに来ていた。

 後輩と放課後ファミレスは初めてなので凪沙は心躍らせていた。


 宮内は深呼吸をして、凪沙に本題を切り出した。


「......あの、実は僕、紡木先輩のことが好きなんです」

「あー、紡木が好きなのね、それで......うん?」


 凪沙は一度自分の耳を疑った。

 

 一度考え込んだあと、もう一度聞いた。


「紡木が好き?」

「あ、はい、えっと......あ、一応僕、女です」

「あー、ん?」


 凪沙はいまいち状況が飲み込めなかったので一旦整理することにした。

 (......俺は宮内のことを中性的な見た目の男子だと思ってたけど実は僕っ子の女の子でそれで宮内はあのモテないことで有名な紡木に恋をしている)


「え!? そうなの!?」

「あ、はい、なんかごめんなさい。僕、女です」

「......いや、こっちがごめん、色々スキンシップしたし、嫌だったよな」


 すっかり男の子だと信じて疑わなかった凪沙は肩を叩いたり色々男友達感覚で接していた。


「いえ、先輩は先輩ですけど同時に友達だと思っているので何とも。それによく勘違いされるので。逆にそれで気まずくなるのも嫌なのでいつも通りでいいですよ」


 宮内は苦笑した。


 (......ていうか紡木やっぱりモテるんだな)


「ちなみにだけど紡木のどういうところが好きなの?」

「足が速くてカッコよくて一目惚れしたと言いますか......好きって訳ではないかもしれないんですけど、とりあえず紡木先輩と話してみたいなと思いまして......えっと、ダメだったらいいんですけど私のこと紹介してくれませんか?」

「......なるほど」


 たしかに紡木は顔立ちがだいぶ整っているし足も速い。

 一目惚れしてしまうのもわかる。


 ただ、友達だったら楽しいけど彼氏にはしたくない、と言われているので、性格面で宮内がどう思うかだ。


「多分傷つくと思うんだけど言っていい?」

「......どうぞ」

「もし宮内が好んでその髪型にしているんだったら申し訳ないけど、紡木の好みは可愛い女子だから、仲良くなっても男友達みたいな関係で止まると思うんだよね」


 (あと、紡木悪い意味で外れてるし......髪切ってないのに髪切ったと勘違いするような人だからな)


 凪沙は前あったことを思い出した。

 そう思うと宮内を確定で男子だと思ってしまうだろう。


「......ですよね」

「だから、中性的な見た目から女子寄りにする必要があるんだけど......宮内は磨いたら結構可愛くなると思う」

「磨いたら、ですか?」

「うん、具体的には髪伸ばして外はねボブとかにしてみるとか」


 外はねボブは髪を切った夏目が最近やっている髪型だ。

 この髪型にしたおかげでよく男子に誘われるようになったのだとか。


 (それ以外の髪型知らないんだけどね!? あと知ってるのはツインテールとかポニーテールぐらいだよ!?)


「紡木に好かれたいんだったらセンター分けはやめた方がいいかな、仲を深めるだけだったらいいんだけど。ちなみにどうしてセンター分けにしてるの?」

「特に意味はないです......いや、中学時代は普通だったんですよ。それである日髪型変えて女性っぽさを出してみたら、クラスメイトに宮内には女性っぽい髪型は似合ってないって言われちゃって、それで自信がなくなって......だったらもうボーイッシュにいこうかなって」


 誰か知らないがだいぶ失礼なことを言っている。

 しかし宮内に女性っぽい髪型が似合わないわけがない。

 今からでも本気でイメチェンしたら紡木は一目惚れするだろう。


「いや、多分いける、全然似合うと思う」

「本当......ですか?」

「うん、とりあえず自信持ってみてよ。紡木は強い女性もタイプだと思う」

「っ......ありがとうございます!」


 宮内はパッと明るい顔になった。


 

 


 



 


 


 


メインとはズレてますが、紡木の恋愛が書きたかっただけです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ