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第14話 友達の意義

「か、可愛い......!」


 ウサギの可愛いキーホルダーを手に取って眺める有栖。


 デパート内を歩いていると、有栖の目に留まったものがあったようで、店の入り口で目をキラキラと輝かせながらそれを見ている。


 有栖は動物系が案外好きなようで、やはり可愛らしいな、と凪沙は思う。

 

 (これが萌え、というやつなのだろうか)


「有栖ってさ~、こういうの好きだよね~。ゆるふわ系ってやつ~?」

「うん、動物は基本好きかな」


 と、そんなやりとりを見ていると紡木が凪沙に小声で話しかけた。


「......あんな有栖今まで見たことあるか?」

「流石にない。可愛らしい一面もあるのだなと」

「いや、破壊力がすごい。クラスの男子が見たらどうなることやら」

「まず間違いなく気絶する」

「そう言う割にお前は平然としてるよな」

「まあ......慣れたというか、可愛いなと思うくらい。っていうかそれは紡木もじゃない?」

「そもそも俺は性格を見るんで。当たり前かな」


 (......一ヶ月前に容姿見ただけで攻略宣言出してた人が言うセリフじゃないな)


 

 そんな紡木に若干呆れつつ、再び有栖の方を見てみれば、見覚えのあるウサギの可愛いハンカチを楓華に見せていた。

 

 (あれは......)


「私の幼馴染がくれたんだ~。このウサギのハンカチ。可愛いよね」

「え、まさか、あんたそれずっと使ってる訳?」

「宝物だしね。普段は使わないんだけど、なんか気分で今日は持ってきちゃった」


 有栖が楓華に見せたハンカチは紛れもなく、昔に凪沙が貸してそのままあげたものだった。

 

 (あのハンカチ.......まだ持ってたのかよ。別に捨てて良かったのに。俺が初めて有栖に出会った時、有栖に貸したハンカチ)


 それを見て、凪沙は胸を打たれた。


「......どうした? お前なんか目とか頬赤いような気がするんだが」

「え? ああ、多分気のせい」


 凪沙は小さく笑った。



「おーい、男子たち。何コソコソ話をしているんだい」


 しばらくすると、楓華が凪沙たちを呼んで手招きをした。


「なんかさ、ここのお店可愛い小物多いしみんなで一緒のやつ買わない?」

「あ、それ良いかも」

「俺も賛成」


 ということで、お揃いのものを買うことになった。


 店の中に入ると動物のキーホルダーが置いてあったり、置物が置いてあったりと多種多様。


「ねえねえ、凪沙くん、これなんかどうかな?」

 

 近くにいた有栖がそう言うので見てみれば、ライオンのぬいぐるみを持っていた。

 有栖のチョイスはやはり女子力が高いものだ。


「どう? 可愛いと思うんだけど。が、がおー。......あれ、ライオンの鳴き声ってこんな感じだっけ」

 

 (っ......ど、どっちも可愛い)


 美少女と可愛いぬいぐるみ。相性が良いので困る。


「ぶ、文房具とかのほうがいいんじゃない? ずっと使えるし」

「あ、そっか、それもそうだね」


 そう言い、有栖は持っていたぬいぐるみを元の場所に戻した。


 (うーん、どうしよう。文房具って言っても、な)


 凪沙が結構真剣に悩んでいると、次は紡木が声をかけた。


「へい、凪沙。俺、DJ目指そうかな。チェケラッチョ」

「あはは、それ似合ってるんじゃない? その格好で学校来てみたら?」

「あきらかな校則違反っ!」


 紡木は帽子を逆に被り、派手な星型のサングラスをつけていた。

 有栖は少し高い声で笑っている。

 

「ああ、うん、似合ってるんじゃないー」

「ええ、冷たっ......ていうかここ色々なもの置いてんだな。しかも俺たちでも買える良心的な値段だし。いい店見つけたわ」

「何にするか決まった?」

「いや、まだ。多すぎて逆に悩む」


 そして少し経った時、楓華も凪沙たちのところへやってきた。

 蝶々柄のスマホケースを一つ手に持っていた。


「こういうのとかいいんじゃない~?」

「いいかも!」


 (スマホケースか、確かにありかも)


「あっちに色々あったからみんなで選ぼうよ~」


 ***


 そこから凪沙たちは遊び尽くした。

 ゲームセンターでゲームを楽しんだり、プリクラを撮ったり。

 ゆっくりとカフェをしたり、買い物をしたりと。


 ちなみに結局スマホケースはサングラスをかけたモアイ像柄に決まった。

 本当に謎である。しかし面白さが勝ってしまったので満場一致で決まった。


 そして気づけば夕方になっていた。


「いやー、楽しかった。遊び疲れたよー」

「だね~、久々かも~、こんなに遊んだの~」


 (友達と遊ぶのも悪くない......むしろ良いな。すごい楽しかった。初めてかもな)


 凪沙はそうしみじみ思った。


 楓華のこともある程度知れたかもしれない。

 それに関係も築けられた。


 (紡木とか有栖には本当頭が上がらないな)


 二人がいるから楽しい機会が巡って来る。



「またさ、この四人で一緒に集まろうよ。私、結構楽しかったし、このメンバーで遊びたい」

「私も~」

「だな、このメンバーでまたどこか行きたい。凪沙もだろ?」

「......もちろん!」


 (友達って、こういうことなのかな)


 凪沙は心から満面の笑みを浮かべた。


 












 


 


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