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第13話 ぶっちゃけ陰キャラ

「......」

「......」


 (いや、気まずすぎないか!?)


 約束の日、凪沙は一足先に待ち合わせの場所に行くともうすでに楓華がスマホをいじりながら待っていた。

 

 そして挨拶は交わしたものの、そこから会話は発展していない。

 楓華は相変わらずスマホをいじっている。


 (......幸先不安だな、果たして俺はこの場に来て良かったのだろうか)


 何か話そうか、話さないか、凪沙が迷っていると楓華が先に話を切り出した。


「ねえ、ちょっといい?」

「ど、どうぞ」

「あんたさ、ぶっちゃけ陰キャラよね」

「え? あ、はい」


 あまりに唐突。そしてデリカシーのなさすぎるどストレートな言葉だった。

 (陰キャラ、ああ、そうだよね。やっぱり俺煙たがられてるのか......)


「ごめんなさい」

「......何であんたが謝るの? 別にあんたを責めてるわけじゃないんだけどさ、あんたが紡木とか有栖と仲良くしているところを見るとちょっと不思議っていうか~。凪沙ってお世辞にも陽キャとは言えないし。別に陰キャが悪いって言っているんじゃないよ? 趣味とか性格が違うっていうだけだからね〜。まあ、何で有栖とか紡木と仲が良いのかな〜って。趣味が合ったり、とか?」


 楓華に凪沙を傷つける悪意はなかった。ただ単純な疑問。

 凪沙を嫌っている訳ではない。


 しかし凪沙の心に深く矢が刺さった。


 有栖は昔の幼馴染ということで話がしやすい。

 だから打ち解けられたのかもしれない。

 

 ただ、紡木は......。

 凪沙は紡木に深く感謝していた。ぼっちだった凪沙に唯一声をかけてくれたからだ。

 

 (紡木は友達だと思ってる。けど、やっぱり合っていないんじゃ......)


 基本凪沙は紡木に対しては受け身。そして住む世界があまりに違いすぎる。

 

 と、凪沙が色々と考え込んでいると、凪沙の額に衝撃が走った。


「いてっ......」

「あんたってそういうの深く考えちゃうタイプか。なんかごめんね〜。うち思ったことすぐに口に出しちゃうタイプだからさ〜。凪沙のことを嫌っているって訳でもないし拒んでるわけじゃないからね」


 楓華が凪沙の額にデコピンをしたようだ。

 ふと凪沙も我に帰る。


「俺にとって......有栖も紡木も大事な友達。でも、仲が良いと思えるのは多分紡木たちが......」


 そう言いかけたところで凪沙はまた額にデコピンされた。


「あんたもうちょっと楽観的に行こうよ。自分は紡木とか有栖と不釣り合いだから~、みたいに考えてない?」

「......はい」

「別に合ってる合ってない何てないんだからさ。しかも凪沙がクラスから嫌われているのかって言ったらそうでもないんだし。有栖と仲良くしているっていう点で男子から嫉妬されてるけど」

「.......ちなみにだけど、どうして俺がここに?」

「ん、元々うちと紡木、あと別クラスの子で遊ぶ予定だったんだけどその子が来れなくなっちゃって。二人じゃ寂しいよねってことで有栖と凪沙を誘ったって感じ」

「俺がいてよかったの?」

「あ~、またネガティブ思考になってるよ。別に私は歓迎。色んな人と仲良くしたいし」


 (クラスの人たちからだいぶ距離を置かれているって勝手に思っていたけど、案外そうでもないのかな)


 凪沙はここ一ヶ月で変わっていた。

 有栖が来て、凪沙自身も表面上は明るくなった。

 ネガティブ思考は直せていないが、そんな凪沙をクラスの人たちは受け入れるようになった。


 凪沙は昔、良くも悪くも紡木以外の人を拒んでいた。

 別にぼっちでも良いと思っていたからだ。

 だからクラスの人たちに距離を置かれて拒まれた。


 しかし凪沙が受け入れるようになって、クラスの人たちも受け入れるようになったのだ。


「ん、その表情いいじゃん。今日は楽しも~」

「......そうだね。うん」


 (少しは自信持っても、欲張ってもいいよね......)


 しばらくすると、紡木がやってきた。


「よ、楓華、凪沙」

「ち~っす」


 楓華は手にあったスマホをカバンの中にしまった。


「ていうか、お前ら来るの早すぎじゃね?」

「......まあ、余裕を持つってモテる上で大切だし」

「んだよそれ~」


 そんな雑談をしていると有栖もきた。


「あれ? 私が一番最後か~、ごめんごめん、お待たせ」

「やっほ~。似合ってるじゃん~、その服~」

「ふふ、ありがと」

「ほんじゃあ全員揃ったことですし、行きますか」


 ***


「え? こんなに広いの!? す、すごい......」


 凪沙たちは隣の市のデパートへと足を運んでいた。

 かなり大きいデパートで様々な店が入っている。


 有栖は目をキラキラとさせて辺りを見渡していた。


「フィンランド、と言ってもうちの地域だけどこんなところなかったな〜、日本のどれも新鮮だな〜」


 凪沙の地元も田舎っぽいところだったので、有栖にとって都会のものは新鮮なのだろう。


 凪沙も何度かここに来ているが、来るたびに驚かされる。

 

「最初どーする〜?」

「まあ、ぶらぶら歩こうぜ」


 と、凪沙たちはデパート内を歩き始めた。




 


 


 

 

 


 


 

 


 

 

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