寄生虫
読んで戴けたら倖せです。*.゜+ヽ(○・▽・○)ノ゛ +.゜*
遥緋はここ数日の間に本来の明るい自分を取り戻しつつあるように思う。
ボクに色々話す事で深い悩みから解放されて行ってるようだ。
食欲も戻って来ているようだし、いい傾向だと思える。
しかしそれで喜んではいられない。
遥緋はこの頃、よく眩暈を起こしていた。
原因は解っている。
寝不足と生命力の浪費。
遥緋の意識にアクセスするのを自粛しようとしているボクの思惑をよそに遥緋は毎日ボクを必要とした。
必要とされるのは嬉しい。
けれどその代償はあまりに大きい。
でも遥緋の苦悩を思うと見て見ぬふりもできない。
遥緋は今日も絵画のボクの前に立って言った。
「今夜も逢えるだろ? 」
ボクはそれを言う遥緋の上目遣いに弱い。
遥緋の苦悩は泉のように次々と湧き上がる。
その度、ボクに打ち明ける事で少しづつ和らげて行く。
その繰り返しはボクには嬉しい。
でも内心気が気では無かった。
その時が訪れたらどうしようかと。
そして恐れていた事態が起きた。
遥緋が学校で倒れた。
クラスメイトの柴野に肩を抱えられながら部屋に運ばれた遥緋は崩れるようにベッドに倒れ込んで、気を失うように眠ってしまった。
遥緋の両親は共働きで夜まで帰って来ない。
柴野は遥緋を一人にしておく訳にも行かず、遥緋の眠るベッドの足元に腰掛けるとスマホを弄りながら、時々遥緋の様子を見ていた。
暫くして遥緋は目をうっすらと開けて言った。
「ありかとう柴野
もう大丈夫だから帰っていいよ」
柴野は心配そうに言う。
「一人で大丈夫なのか? 」
「大丈夫、静かに寝てれば明日には復帰してるさ」
「そうか?
ならいいけど··············」
柴野は迷っているようで、中々腰を上げようとしなかった。
遥緋は柔らかな笑みを浮かべて言った。
「本当に大丈夫だから」
柴野はその笑みに安心したのか、立ち上がると軽い伸びをした。
「じゃあ俺行くけど、無理はするなよ」
「ああ、解った」
柴野は部屋を出て行った。
遥緋は柴野が出て行くと直ぐにボクを見て哀願するように言った。
「朔········逢いたいんだ、逢いに来て·············」
遥緋はそう言うとまた眠りに吸い込まれて行った。
ボクだって逢いたい。
でもボクはその日、遥緋の意識に繋がる事はしなかった。
怖かった················。
このまま遥緋が死んでしまったら、そう思うと怖くてできなかった。
ボクは巨大な寄生虫だ。
遥緋の生命を吸い上げながら生きている。
望んだ訳では無いけれど·················。
遥緋は次の日の朝まで、まるで死んだように眠っていた。
朝目を覚ますと遥緋は絵画のボクの前に立って、怒った顔を向ける。
「どうして夕べ逢いに来てくれなくったのさ」
遥緋のふくれっ面が可愛い、じゃなくて!
逢いに行ける筈が無い。
何よりも遥緋を失うのが怖い。
遥緋には淋しい思いをさせてしまうけど、もう逢う訳には行かなかった。
多分もう後が無い·························。
読んで戴き有り難うございます❗m(_ _)m
近くの街で熊が人を食べたようです。
釣りをしに出掛けて行方不明になった人の一部が熊のお腹から出て来たそうです。
怖いなあ、と思う反面、人間の自業自得のように思います。
人間が木を伐採して、エサがある住みかを奪って行った結果だと思います。
亡くなった方には申し訳ないけど、人間の傲慢が生み出した結果。
人間にはもっと自然を大切にして貰いたいです。