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エトランジェ  作者: 楓 海
7/11

悩み

 読んで戴けたら倖せです。゜+(人・∀・*)+。♪


 



 砂浜で海を眺めていると、遥緋(はるひ)はボクの頬を突いた。


 ボクが驚いて遥緋を見ると遥緋は少し不機嫌な顔をしてボクの頬を今度は軽くつねった。


「今日、女子にコクられたんだ」


「え? 」


 ボクは予想外の言葉に面食らう。


 遥緋にベタ惚れなボクが言っても説得力に欠けるが、遥緋はモテると思う。


 ほっそりとした肢体に端正な甘いマスクは当然女子にも受けがいいだろう。


 だが遥緋にはそれは有り難く無い。


 遥緋は握った砂をさらさらと指の隙間から溢しながら言った。


「自分がノーマルならどんなにか良かったろうって、コクられる度に思う」


 遥緋は手に残った砂を思い切り海にぶつけるように放った。


 砂は海風に乗って(くう)を一瞬漂って落ちる。


「オレ、コクられる度に嘘ばつかり言ってるんだ

 好きな人が居るとか、キミは魅力的だから気を悪くしないでとか······

 女の子に魅力なんて感じないのにね

 いい加減、スラスラと嘘が言える自分に嫌気が差して来る」


 遥緋は何度も握った砂を出前に投げ捨てる。


「仕方無いよ、遥緋は優しいから」


「優しいって何だろうね? 」


「キズ付けたくないからだろ? 」


「キズ付けない為なら嘘は許されると思う? 」


 ボクは言葉を続けられなくなる。


 残酷な真実だけが浮き彫りになる。


 誠実であろうとすればするほど真実が冷たい爪の先を冷酷に突き刺して修復できないキズを深くする。



 

 何が普通で何が異常なのか·····················。


 そんな事を遥緋はよくボクに問い掛けた。


 遥緋の言いたい事は解る。


 恋愛対象が同性なのは普通では無い。


 この国の保守的な風習は同性愛者には冷たい。


 それを個性と認めたりはしない。


 遥緋は自分が同性愛者だと自覚したその時から疎外感を感じるようになっていた。


 そしてそれが露見する恐怖が付きまとう。


 真性の同性愛者である遥緋にとってその恐怖は更なる孤独感に拍車を掛けた。


 そしてボクを生み出した。


 どれほど苦しんだろう。


 絵に意思を与えるほど強い念。


 彼の苦しみが並大抵で無いことが窺える。


 遥緋はボクの膝を枕に寝そべってポツリポツリと語った。


「家族を裏切ってる気がしているんだ、ずっと···········

 だってそうだろう?

 息子が同性愛者だなんて、酷い裏切りだ」


 ボクは遥緋の気持ちが安らぐように遥緋の髪を撫でる。


 遥緋は辛そうに眉間に皺を寄せた。


 ボクは言う。


「だけど、キミの両親は苦しんだとしても息子には真実を打ち明けて欲しいんじゃないかな

 そうゆう親だろ? 

 キミもそれはよく知っている」


 遥緋は視線を地面に落とす。


「そうだとしても言えないよ

 ボクにどれほど失望するかと思うととても言えない」


 ボクは言った。


「そうかな

 ボクが知ってるキミの両親はそれごときで息子に失望するとは思えないけど

 きっと理解しようと努力してくれるさ」


 遥緋は起き上がって暫く頭を垂れて考え込んだ。


 そして言った。


「そうだった······················」


 遥緋の苦悩に満ちていた目が和らいでいた。


 遥緋は微笑み言った。


「ありがとう·········

 凄く気持ちが楽になった···················」


 下心が無いと言えば嘘になる。


 弱っている遥緋に肯定的な事を言って支えることで好意を芽生えさせたい気持ちは在る。


 こんなにも好きなのだから、愛されたい。


 そう思うのは自然だと思う。


 気が引けない訳じゃない。


 ボクは遥緋の弱みに付け込んでこっちを見て貰おうとしている訳だから。

 

 でも純粋に遥緋には真っ直ぐ生きて欲しいと思う気持ちも強く在る。


 遥緋の抱える苦しみが少しでも軽くなって欲しいと思っているのも事実だ。


 遥緋が本来の明るさを取り戻してくれたらと思う。


 ボクは屈託無く微笑んで言った。


「いつかその時が来たら言えばいい

 物事には時宜があるだろう

 隠している訳じゃない、言うべき時をまっているだけさ」


 ボクがそう言うと、遥緋は安堵の表情を浮かべボクの肩に手を置いて額を押し付けるように載せた。


「そう··········だね·················」




 読んで戴き有り難うございます❗❗゜+.゜(´▽`人)゜+.゜


 最近眠れません。

 1時間半や5時間くらいで目が覚めるんですよお。(TДT)

 あんまり寝ないで行動している神経の調子が悪くなるし。

 歳はとりたくないですね。笑笑


 

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― 新着の感想 ―
[一言] なにか、お昼前のニュースで見た自殺未遂した歌舞伎の人に似ていて怖い! でも、コレを投稿されたのはニュースよりも前の時間だから凄い! 同棲だって犬だって猫だって馬だって牛だって、愛することは尊…
[一言] 「キズ付けない為なら嘘は許されると思う? 」 この問題、すごく難しいですよね。怖がらせないために甘いことを言って、傷つく、みたいなケースもよくありますし。 そしてカミングアウトは本当にク…
2023/05/20 05:55 退会済み
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