独占欲
読んで戴けたら嬉しいです。(o^-^o)
ふと疑念が湧いた。
遥緋は本当にボクを好きなのだろうかと。
それはもしかしたら恋などでは無く依存なのではないのか。
遥緋が求めたのは理想の恋人では無く、理想の理解者なのではなかったのか······。
例えばその疑念が真実だったとして、それらを明らかにして何になるだろうか。
清らかな水の中に泥を垂らすことで水が清らかさを失うように、成橋が行動を起こした事でボクの中に一抹の不安を垂らしたに過ぎない。
その疑念が真実だったとしても表面を覆う現実を信じなければ意味の無い苦しみだけが先走る事になる。
問題はそこには無い。
成橋は形振り構わず強行に出た。
家にまで押し掛けたと云う事は、成橋は遥緋を落とす気満々だ。
勝てない···················。
そう思った···········。
遥緋とボクが、どれほど恋し合っていたとしても、ボクは存在しているようで存在していない。
遥緋の現実の世界ではボクはただの絵画でしかない。
だが成橋は確かにそこに存在していて、日常がある。
どれほど愛そうとボクはこれ以上遥緋に逢う訳には行かない。
遥緋の心を繋ぎ留める術が無い。
愛を囁く処か遥緋がどれほど苦しんでいたとしても支える為の言葉を与える事さえ許されない。
奴は淋しさを抱える隙だらけの遥緋に愛の言葉を吐き、優しさで遥緋の心を翻弄するだろう。
今弱り切っている遥緋の不安に成橋は容赦無く付け入るだろう。
勝てる筈が無い。
やがて遥緋の想いは成橋に移ろって行くだろう。
遥緋の心が離れて行く過程をボクは見守っていかなければならないのか。
ボクにそれを耐えろと言うのか···················。
やっと遥緋とボクは想いを通じ合わせられる様になったというのに。
いや想いを通じ合わせているからこそ、こんなにも愛して止まない遥緋がボクへの関心を失って、別の男の物になるのを沈黙の中で受け入れられる筈が無い。
それなら、いっそ······················。
遥緋の寿命はボクが握っていると言っていい。
同じ喪失感を味わうなら、せめてボクの物でいてくれる内に···········。
遥緋は成橋を追い出した後、しばらく興奮状態でベッドに座り落ち着くのを待っていたが、感情を高ぶらせて疲れたのだろう、今は横たわり寝息を立てていた。
ボクは心行くまで、無垢な遥緋の寝顔を見詰め味わった。
それから遥緋の意識に繋がった。
遥緋はこちらの世界で目を覚まし、屈託の無い笑顔をボクに向けた。
所詮ボクは異形の者で人間にはなれない。
他の男に恋する遥緋など見たくは無い。
遥緋は永遠にボクのものだ。
そう、死することで···················。
ボクは起き上がった遥緋をそうっと抱き寄せた。
「好きだよ、遥緋
永遠にボクのものだよね············」
遥緋はボクを抱き返し甘ったるい声で返した。
「もちろん········」
「死を迎える最期の瞬間までボクは傍でキミを愛するよ」
いや、死んでからも存在できる限り遥緋を愛し続ける。
自分の描いた絵画に殺される遥緋···········。
これがボクと云う異形の者を生み出した、遥緋の対価なのたろうか·················。
fin
最後まで読んで戴き有り難うございます。m(_ _)m
うちの娘はとても面白いと言ってくれたのですが、皆様は面白かったでしょうか。
なろうでは浮きまくる内容なので、本当に期待してなかったのですが、それでも読んで下さる方がいらっしゃって本当に良かったです。
後半波乱続きでしたが、なんとか完結を迎えられて一安心です。
総ての回に感想を書いて下さり応援戴いた湖灯様、Orca様には感謝の念が耐えません。。゜(゜´Д`゜)゜。
この場を借りてお礼を言わせて下さい。
本当に毎回ご苦労様でした。
そして、有り難うございました。m(_ _)m
次は何を書こうかまだ迷っている状態です。
過去の拙さ過ぎる作品の改稿版を書こうかなとか考えてます。
読んで下さった皆様にとても感謝しています。
最後までお付き合い有り難うございました。m(_ _)m
また次の作品でお逢いできる事を楽しみにしています。
皆様が健やかに過ごされる事を願いつつ、それではまた♫(o´▽`o)ノ