成橋
読んで戴けたら嬉しいです。(o^-^o)
ボクと遥緋は何度も互いの口唇を求めあった。
存在を確かめ合うように抱き合い触れ合った。
玄関のチャイムが頻りに鳴るのが聞こえる。
遥ひは、夢でも見ているような虚ろだった目が現実へと引き戻され、霞みとなってボクの腕からすり抜けて行った。
遥緋が現実で目を覚ましたからだ。
遥緋の足音が階段を降りて玄関へと向かう。
誰だろう、ボクと遥緋の愛の時間を邪魔する無粋者目。
暫くすると遥緋は来客と一緒に部屋に戻って来た。
その来客は············成橋だった。
なんで、こいつが·············?!
「それで、話って何? 」
遥緋がぶっきらぼうに言う。
遥緋は成橋にいい印象を持っていない。
成橋の熱烈な視線を睨んでいると言っていた。
同性愛者だと言う事を見透かされているとも思っている。
このあからさまに歓迎していない態度は至極当然だろう。
成橋は一通り部屋を見渡してボクの前に立った。
「絵を描くのが趣味なんだね
凄く上手だ」
当たり前この事をいうな、遥緋は天才だ。
こいついったい何しに来た?
目的は何だ?
成橋がボクを見て言う。
「この絵は誰を描いたの? 」
遥緋は不機嫌そうに答える。
「誰でもいいだろ、成橋の知らない奴だよ」
こんなに気の無い事を言われても成橋はめげずに言った。
「最近調子が悪いみたいだけど、病気なの? 」
「さあな、原因不明で医者もお手上げなんだ」
胸がズキンと痛む。
「で、話って何? 」
遥緋は不機嫌なのを隠しもせず、畳み込むように言った。
成橋は意を決したように遥緋に向き直る。
ボクは何だか嫌な予感がした。
成橋は遥緋を熱く見詰めて言った。
「気付いてるでしょう、いつも俺が君を見てるの」
遥緋は肩を竦めて、それがどうしたと云う顔をした。
「好きなんだ」
「は? 」
鳩が豆鉄砲食らったような顔で遥緋は成橋を凝視する。
ボクの嫌な予感は的中した。
ボクは目の前に突っ立っている成橋に手を伸ばし、首を絞めてやりたかった。
クソ、なんて大胆不適な奴だろう。
家に押し掛けて告るなんて。
ここに姿を現せる事ができたら、部屋から叩き出してやるのに。
この時ほど肉体が欲しいと思った事は無い。
成橋は遥緋の視線を避けるように落ち着き無く目線を落とす。
「俺と付き合って欲しいんだ」
遥緋の顔がみるみる険しくなる。
「お前は、オレをなんだと思ってる?!
出て行け!!
オレはお前が思ってるような人間じゃない! 」
遥緋は成橋の手首を掴み、引っ張って部屋から叩き出そうとする。
いいぞ、遥緋!
もっと言ってやれ!!
成橋は遥緋に引き摺られながら叫ぶ。
「ずっと好きだったんだ!!
きっと大事にするよ!
あいつみたいに君を泣かせる様な事はしない!
あいつだろ?!
君はあいつが好きなんだろ?!! 」
成橋はボクを指差す。
遥緋の動きが止まる。
「どうして、それを··················? 」
成橋は遥緋の手を振り払うと言った。
「解るよ、見ていれば
俺はずっと君を見てたんだ
絵に描くほど好きでも、あいつは君を泣かすんだ! 」
どうやら成橋はボクを実在する人間だと思っているらしい。
遥緋の顔が更に険しくなって、ドアを開くと成橋を追い出しドアを閉め、開けられないようにドアを引っ張った。
「さっさと帰れ!
二度と来るな!!」
吐き捨てる様に遥緋が叫ぶ。
暫くして、ドアの向こうで成橋が言う。
「心の底から好きなんだ
だから、俺は諦めないから··········
今日は帰るよ」
成橋の足音が遠ざかる。
読んで戴き有り難うございます❗゜+.゜(´▽`人)゜+.゜
夕べ、夜中の2時半に目を覚ましてから寝てません。
ただいま絶賛ヘロヘロです。
く~~~~~~歳には勝てないって事ですかね。
今から寝ようと思います。
昨日、沢山感想戴いてルンルンだったのですが、楽しみの返信が書けません。
感想下さった皆様、有り難うございます。m(_ _)m
遅れてすみません。<(_ _*)>