906話 サンドレインとの再会
ヴィヴィはシャイニングクリーナーと戦ったパーティに見覚えがあった。
「ぐふ、あれはサンドレインだな」
「えっ?ザッパー号で出会ったっ?」
「ぐふ」
自警団の一人がヴィヴィに尋ねる。
「あの、知り合いですか?」
「ぐふ、探索者だ。以前一緒に依頼をこなしたことがあるが悪い奴らではない」
「そ、そうですか」
自警団のメンバーが安堵する中、その一人が呟いた。
「冒険者じゃなくてよかった」
その者はサラの視線に気づくとハッとした表情をする。
彼は冒険者だと名乗ったクズ集団いやんあんぽんたんのことが頭に浮かんでつい口に出てしまったのだが、サラ達も冒険者であることを思い出したのだ。
慌てて「あはは」と笑ってごまかした。
サラは何も言わなかった。
「ぐふ、こちらに来るようだな」
村の門の前に篝火を炊いているで村の存在はすぐに気づく。
小型サンドシップから降りて来たサンドレインのリーダーがリサヴィに気づき話しかけて来た。
「リサヴィ、いや、デスサイズと言うべきか。こんなところで会うとはな」
「本当にそうですね」
彼らはまだ話をしたかったようだが、リオは「もう用はない」とでもいうように宛てがわれた家へ向かって歩き出した。
それに従うヴィヴィとアリス。
サラは申し訳なさそうな顔をしながらリーダーに言った。
「時間も時間ですし、話があるようでしたら明日、いえ、もう今日ですね、朝でお願いします」
「ああ、わかった」
「それでは失礼します」
サラが皆の後を追った。
サンドレインのメンバーは自警団と軽く挨拶をかわした後、村の警備を手伝うことにした。
村の心配をしたわけではない。
シャイニングクリーナーが戻ってくるかもしれないので、そのついでであった。
そして朝。
リオ達が村唯一の酒場で食事をしていると、サンドレインのメンバーがやってきた。
「自警団の連中から話を聞いたんだが、シャイニングクリーナーが喰らってた大量の死体はここを襲った奴らだったんだな」
「ええ」
食事中にする話ではないが幸いリサヴィの食事は終わっていた。
サラは「繰り返しになるかもしれませんが」と前置きしてから昨日の出来事を彼らに話した。
特に齟齬はなかったようで質問は出なかったが、その代わりに不満が出た。
と言ってもクズ集団いやんあんぽんたんの事ではない。
声を上げたのはサンドレインの魔術士だ。
「お前達さ、俺達の戦いを呑気に見てないで手を貸してくれてもよかったんじゃないか?そうすりゃシャイニングクリーナーを逃すこともなかったのによ!」
以前、探索者ギルドのギルド職員からBランクパーティが苦戦したと聞いていたが、彼らサンドレインはBランクの中でも上位の力を持つパーティだったようだ。
サラ達は彼らが戦う姿を見たことはあったが、どれも全力を出していなかったようだ。
あるいは念入りにシャイニングクリーナー対策を立てていたか。
リオが無反応なのでサラが対応する。
「連携したことのないパーティとぶっつけ本番で、しかも視界の悪い夜ともなると同士討ちの可能性があります。共闘して倒せたとしても後で分配で揉めたと思いますよ」
サラのいう分配がシャイニングクリーナーが取り込んだナンバーズのことを示していることを皆理解出来た。
「そりゃそうだけどよ……」
サンドレインのリーダーが魔術士を注意する。
「やめろ。倒しきれなかった俺達が悪いんだ」
ウォルティス教の神官アーヴィスが続く。
「私達の力不足で他人に文句言うのは筋違いです」
サンドレインの魔装士が「その通りだ」というように「ぐふぐふ」と頷く。
「……悪かったよ」
魔術士はメンバー全員にたしなめられて謝罪するが、内心では納得いかなかったようで嫌味を言い始める。
「しかし、冒険者がクズばっかだってのはホントなんだな。四十四人、いや、四十三人だったか?」
「彼らがそう言っていただけです。冒険者だった証拠はありません」
「クズは嘘つきばっかりですからっ」
サラ達の説明に魔術士は納得しない。
「冒険者カードがないのは追放されたからだろ。追放されたからって冒険者だった過去は消えないぞ」
サラが更に言葉を口にしようとしたがヴィヴィの方が早かった。
「ぐふ、探索者にもクズはいただろう。グレートヴィランだったか」
「うっ……」
正しくはグレートヒーローズであるが、問題なく通じた。
魔術士はヴィヴィに痛恨の一撃を食らい渋い顔して頭をガリガリかく。
「あの馬鹿どもが!探索者の評価を落としやがって!!」
「ぐふ、それにしても奴らは一体どこに行ったのか。まあ、どうでもいいが」
これはヴィヴィの言葉ではなくサンドレインの魔装士だ。
彼らを船から落としたリオは(リーダーを落としたのはデザートナイフのエルエルだが)彼らがどうなったか見当がついていた。
落ちたショックで死んでそのまま砂に埋もれたか、魔物の餌になったかのどちらかだろう。
そのことをリオが彼らに教える事はなかった。




