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悪夢を振り払え〜あなたを魔王にはさせません!〜  作者: ねこおう
第5部 旅の終わり編

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905/913

905話 忘れた頃にやって来る

 カルハン魔法王国の領土は王都ハンがある北方を除くと砂漠地帯が多い。

 ダンジョンや鉱山など有用なものが近くにある街や村は領主に守られ裕福な生活を送っているが、地理的にも重要ではない場所に勝手に作った村がカルハンに公認されることはなく、自給自足で生きていかなければならない。

 不定期ながら商隊が訪れた際に育てた作物や魔物の素材を換金したり物々交換して不足しているものを補う。

 今回、この村は異端審問官を騙るクズ集団あんぽんたんを撃退したことによって大金を得た。(実際に撃退したのはリサヴィであるが)

 彼らの装備や荷物を得たからだ。

 だからと言って素直に喜べるわけはない。

 自警団や反抗した者達は殺された。

 とても割に合うものではない。

 それでも彼らは逞しかった。



 サラがあの兄に剣術を教えると聞いて何人かの村人が参加を希望してきた。

 その半数が女性だったのは以前の自警団が主に男性で構成されていてその多くがクズ達によって殺され単純に人手不足だったこともあるが、兄と同じく他人に自分の命を預けたくない強くなりたいと思ったことが大きい。

 サラはその者達を受け入れた。

 装備はクズ達のものを利用した。(サラとアリスが神聖魔法リフレッシュをかけたので血などの汚れは言うまでもなくクズ達の臭いも消えている)

 装備だけ見れば以前の自警団より充実している。

 もちろん、仲間を殺した者達の装備を使用するのは抵抗があったが、生き残るためにはなんでも利用すると決めた兄が進んで手にするのを見て残りの者達もそれぞれ身につけたのだ。



 日が暮れかけた頃。

 サラが指導を終えようかと考えていたとき、リオ達が宛てがわれた家に向かう姿が目に入った。


「リオ!」


 リオはサラに顔を向けてサラが次の言葉を発する前に口を開いた。


「飽きた」

「飽きたって……」


 その言葉で“餌”に釣られて魔物が寄って来なかったことがわかった。

 だが、考えて見れはそれは当然かもしれない。

 魔物の活動は夜に活発になるのだから。

 村人達はリオ達に村の警備して欲しいと心底思っていたものの口に出す者はいなかった。

 リオ達がほとんど休んでいないことを知っていたこともあるが、皆リオに恐怖を感じて言い出せなかったのだ。

 その点でリオに直談判したあの兄は評価を上げていた。


「たく……」


 リオ達が村の警備をする気がなくてもまだ村にいるという安心感があったし、幸い門や柵の応急修理は終わっている。

 村人達は後回しになっていた自警団を急遽再編し、今夜からの見張りを決めるのだった。



 深夜になった頃であろうか。

 外が騒がしくなった。

 それにアリスを除いて皆気づいた。

 サラがアリスを起こす間にリオが外に出た。

 するとちょうどリオ達に知らせにやってきた自警団の一人と出会った。


「なんか光ってるものが現れたんだ!多分魔物だと思うんだが確認してくれないか!?」


 その言葉を聞いてリオが走り出す。

 その後をヴィヴィが続き、少し遅れてサラとアリスが続いた。



 自警団の者達はリオ達がやって来たのを見て心底ほっとした表情をする。

 それも一瞬のことですぐに厳しい表情に変わり、自警団の一人が砂漠のある場所を指差す。

 そこはクズ達の死体を捨てた場所だった。


「光を発してるが間違いなく魔物だと思う!クズ達の死体に引き寄せられたみたいだ!」


 リオが「クズ釣り」と言っていたくらいなので魔物が寄ってくること自体は別段驚くべきことではない。

 その者の言う通り、クズ捨て場辺りで光がチラチラ動くのが見えた。

 ヴィヴィがリムーバルバインダーを飛ばし、様子を探ると少し驚いた声で言った。


「ぐふ!?シャイニングクリーナーか!?」

「探すのをやめたら現れるとはな」


 リオはどこか呆れたような表情をして言った。


「『クズも積もれば役に立つ』ってやつですねっ」


 そう言ったアリスの顔はなんか誇らしげな顔をしていた。

 そんなアリスにサラが冷めた目を向けて突っ込む。


「そんなことわざはありません」



「それでどう戦いますか?」

「……」

「リオ?」


 サラはリオが考える素振りを見せたので驚いた。

 

「まさか戦わないのですか?」


 リオがサラの顔を見て言った。


「サラ、俺は戦バカじゃない」

「嘘つけ!」


 サラは脊髄反射の如く叫んでいた。

 

「……」

「すみません、つい……」


「本当のことを言ってしまいました」とサラは心の中で続ける。

 リオは何か言おうとして口を開きかけたがすぐ閉じた。

 そして再び開く。


「お手並み拝見だ」

「え?……あ」


 サラはクズ捨て場へ向かうものがあるのに気づいた。

 ヴィヴィがその正体を告げる。


「……ぐふ、小型のサンドシップだな。商人や旅人が魔物に突撃するとは思えんからおそらくシャイニングクリーナーの賞金狙いの探索者だろう」

「追いかけて来たんですかねっ?」

「ぐふ、さあな」


 そこからヴィヴィの実況中継が始まった。

 その探索者と思われるパーティは善戦したものの、シャイニングクリーナーに逃げられて戦いは終わった。



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