表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪夢を振り払え〜あなたを魔王にはさせません!〜  作者: ねこおう
第5部 旅の終わり編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

902/913

902話 最後のクズ力

 元冒険者のクズ、いや、もうクズでいいだろう、クズの一人がリオ達の正体に気づいた。


「お前らリサヴィじゃないのか!?」

「それがどうしました?」


 彼の“ク頭脳“が高速回転し、起死回生の一手を叩き出した。

 即実行する。


「お前らの話は聞いてるぜ!クズ抹殺のために世界を旅してんだろ!俺らも手を貸すぜ!一緒にこの世からクズを一掃しようぜ!」


 彼の作戦に全員が飛び乗り、「だな!」とクズ達の大合唱が起こる。

 そう言った彼らの顔はなんか誇らしげだった。


「ぐふ、今やっているだろ」


 ヴィヴィの冷めた言葉を聞いたクズ達から脊髄反射のごとく「ざけんな!」の大合唱が起きた。

 その様子を冷めた目で見ていたリオが呟いた。


「またギャグか」

「ですねっ」

「そうですね」


 またも作戦は失敗したが、「まだ終わらんよ」と必死に“ク頭脳“を働かせる。

 いち早く閃いたクズの一人が村人達に向かって叫んだ。


「俺らは共に被害者だ!」


 それだけで他のクズ達は彼がやろうとしていることを察し、アシストする。

 彼らも周りを取り囲む村人達に向かって叫んだ。


「そうだ!こいつらジュアス教団はお前らを苦しめ、俺らを騙した大悪党だ!」

「お前らが真に憎むべき相手は俺らじゃねえ!このジュアス教団の悪魔どもだ!!」


「だな!」とクズ達の大合唱。


「俺らと力を合わせてこいつらを追い出して自由を取り戻すんだ!!」


「おう!!」と元気いっぱいに叫ぶクズ達。

 その顔はとっても気持ち良さそうだった。

 実際、彼らは自分達の言葉に酔っていた。


「黙れクズ」


 リオの声にクズ達は一斉に口を閉じる。

 もちろん、それで諦めたわけではない。

 彼らは「俺らばかりに任せんじゃねえ!」と心の中で叫びながら同志と思っている村人達を見回す。


 しかし、なんということでしょう!? 

 村人達の憎しみは彼らに向けられたままでした!

 彼らの演説に心を打たれた者は一人もいなかったのです!


 ……いや、まあ、それはそうだろう。

 確かにジュアス教団は、正確には異端審問官達だが、村人達を殺したことは事実だ。

 だが、それは過去のことであり、ここにいるサラ達ではない。

 それに対して今回、村を襲ったのは紛れもない彼らクズなのだ。

 彼らの言葉に賛同する者がいるわけがないのだ。

 だが、彼らクズだけは理解できなかった。

 理解はできなかったが村人達が彼らに味方することがないことだけはわかった。



 クズ達はまだ生を諦めていなかった。

 サラ達はその生への執念を見て、「もしかしたらラグナに目覚めるかも」と思った、

 なんてわけはない。

 この絶体絶命のピンチを乗り切ろうと彼らは必死に“ク頭脳”を働かせる。

 ブラック企業顔負けの働かせっぷりである!

 起死回生(何回目?)のアイデアが思い浮かんだ者が即それを実行する。


「俺は今からジュアス教に入信する!教団に入るぜ!」


 彼はジュアス教徒になることでサラ達神官の庇護に入り助かろうと考えたのだ!

 先程、村人達に「共通の敵だ」と言ってけしかけたことをすっかり忘れたようだ。

 三歩歩けば忘れるという鶏もびっくりの記憶力のなさであった。

 そのクズの言葉を聞き、他のクズ達もその考えに至り次々と「入信する」と言い出す。

 呆れた顔をするサラとアリスをよそにクズ達はもう助かった気で態度がデカくなる。


「さあ!俺らを教会でも神殿でも連れて行ってくれ!」

「寝言は寝て言えっ」

「な!?」


 アリスに拒絶されて彼らは驚く。

 何故か拒否されるとは全く考えていなかったのだ。

 サラが冷めた目を向けながら言った。


「ジュアス教はカルハン国内での布教活動を禁止されています」


 もちろん、これで彼らが諦めるわけがない。


「わかった!じゃあ、今は仮だ!カルハンを出たら正式に入団する!それでいいだろ!?よしっ決まったな!!」


 そう言った者を含めて満面の笑みを浮かべた。

 サラとアリスが同時に叫んだ。


「「寝言は寝て言え!」」



 これまでの会話の中でクズ達は一度も反省や謝罪の言葉を口にする事はなかった。

 ふざけた理由で命乞いをするものの、謝罪の言葉は一度も出なかった。

 ただひたすら「自分達は悪くない」「他の者達が悪い」と責任を押し付けるだけだった。

 彼らに改心する気が全くないことは明らかだった。


「ぐふ、もう処分していいのではないか」


 ヴィヴィがうんざりした口調で言った。


「そうですね。本来であれば領主に引き渡すところですが」


 この辺りを治める領主がいるはずだが、その者がどこの誰なのかサラ達は知らない。

 知っていたとしてもそもそもこの村は未公認で管理していない。

 存在すら知らない可能性がある。

 クズ達を連れて行ったところで処刑して終わりであろう。

 つまり、連れていくだけ時間の無駄である。

 クズ達もそのことに気づき最後の抵抗を見せる。


「ちょ待てよ!俺らは降参してやったんだぞ!」

「本来ならな!その潔さに免じてすぐに無罪放免すっとこだろうが!!」

「それなのにお前らときたら無抵抗な俺達をよってたかって殺しやがって!恥を知れ!恥を!!」


 まだまだ元気いっぱいのクズ達だった。

 クズ達は尚も自分達しか理解出来ない論理を展開する。

 周りを囲む村人達を睨みつけて叫ぶ。


「俺らがあのまま抵抗し続けたらお前ら死んでたんだぞ!半数は確実にな!」

「それをやめてやったんだ!言うなれば俺らはお前らの命の恩人と言っても過言じゃねえ!」

「そんな恩人である俺らを助けねえなんてあり得ねえだろうが!」


 すかさず「だな!」の大合唱。

 ちなみにリオが強引なクズ殲滅作戦を実行したので村人達に重傷者が何人か出たがすぐにサラとアリスが治療したので死者は一人も出ていない。

 これはサラとアリスが優れた神官だったからであり、普通の神官であれば間違いなく死者を出していたことであろう。

 サラ達はクズロジックに慣れっこで耐性があったが村人達は違った。

 親しい者を殺された村人達がクズ達の数々の神経を逆撫でする発言にキレた。

 クズ達の武器を手にして襲い掛かろうとした。

 それを止めたのはリオの一言だった。


「黙れクズ」


 リオの言葉に喚き散らしていたクズ達は口を閉じ、クズ達に襲い掛かろうとしていた村人達も動きを止める。

 村人達もリオがクズ達を容赦なく圧倒的な力で惨殺しているのを見ている。

 助けてもらった彼らにとってもリオの異常な強さは恐怖の対象だった。

 リオは村人達をチラリと見てから言った。


「このクズ達の使い道は決まっている」

「それはなんですか?」

「決まってるだろう」


 サラの問いにリオはくすり、と笑った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ