表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/866

86話 ナックの土下座(改訂)

すみません、とんでもないネタバレしてましたので修正しました。

 手持ちのプリミティブを確認した結果、更にもう一つ一致した。


「あと四つか」


 ベルフィが状況確認するように呟いた。


「て事はだ、あと最低四体はガールズハンターを倒さないとダメって事だよな」

「そうなるな」


 ナックの言葉にベルフィが頷く。


「プリミティブをキーにするくらいですからガールズハンターをサイファ・ヘイダインが生み出したって説は信憑性が出て来ましたね」

「そうだな!」


 サラはナックに話しかけたつもりだったが答えたのはカリスだった。

 微妙な表情をするサラを見て苦笑していたナックだったが、突然、ある考えが思い浮かび女性陣の前で土下座をした。


「な、なんだいっいきなりっ!?」

「何をやってるのですか、ナック」


 ローズとサラの疑問にナックは土下座で頭を下げたまま答えた。


「ローズ、サラちゃん!そしてヴィヴィ!頼む!全裸になって……ぐはっ」


 ナックは最後まで言葉にする前にローズに殴られた。


「馬鹿言ってんじゃないよっ!」

「待て待て!これはとても理にかなっているんだぞ!幸いにもここの魔物はガールズハンターしかいない!きっとサイファの野郎もそれを想像してニヤニヤしながらこのラビリンスを作ったに違いない!なかなか憎いことしてくれ……なんでもない」


 女性陣に睨まれナックは言葉を途中で切ったものの、更に続ける。


「大体、ローズ、お前は俺らと一緒に水浴びした事もあるだろ。そこまで裸になるのに抵抗ないんじゃないか?」

「冗談じゃないよっ!全然状況が違うじゃないかっ!誰が危険なダンジョンのなかで全裸徘徊するって言うんだいっ!あたいはそんな露出狂じゃないよっ!もし、そんな危篤な奴がいたら見てみたいわっ!今すぐここに連れて来なっ!」

「……」


 サラはローズの言葉がちょっと痛かった。

 実はサラはナナルに鍛えられている時、どこかのダンジョンに全裸で放り込まれたことがあったのだ。

 だからといって、ローズに「ここにその奇特な人がいますよ」などと自ら黒歴史を披露するはずもなく、当然ながらこの迷宮を全裸で進む気もない。

 そこに空気が読めない事には定評のあるリオが口を挟んできた。


「ローズ」

「あんっ?まさかあんたも文句があるのかいっ!?」

「人を連れて来るとだいぶ時間がかかるよ」

「あんたは黙ってなっ!」


 ナックがリオを肘で突く。


「ん?」

「お前からも頼め!お前が頼めばサラちゃんはやってくれるんじゃないか?」


 その声は当然サラにも聞こえており、サラがリオに笑みを浮かべる。

 空気が読めない事に定評のあるリオであるが、この時は珍しくサラの気持ちが理解できたようで、


「無理」


 とナックの願いを断った。

 カリスがナックを怒鳴りつける。


「ナック、いい加減にしろ!みっともない事するな!」


 そう言ったカリスを見る女性陣の目は冷たい。

 ナックも不満げに言い返す。


「カリス、自分だけいい子ぶるなよ」

「な、なんだと!?」

「言うのが遅いってんだよっ!」

「そうですね」


 ローズの言葉に普段仲の悪いサラも同意する。

 サラにまで言われ、カリスは思いっきり動揺する。


「ち、違う!俺はナックの行動に唖然として思考が止まってたんだ!決してナックの案に期待してた訳じゃない!」

「もういいだろ。仲間割れはやめろ」


 しかし、仲裁に入ったベルフィにも女性陣は冷たい視線を送る。


「……ベルフィ、あんたもだよ。何自分は関係ないみたいな顔してんのさ?」

「……」

「そ、そうだぞ!俺達だけ悪者にするな!なあ、カリス!」

「ば、馬鹿野郎!俺も一緒にするな!こっちはお前が変なこと言うから巻き添えくっただろうが!」


 カリスがナックに文句を言う。



 リオとヴィヴィは我関せずと成り行きを見守っていたが、リオはふと何か思いつたようでヴィヴィに話しかける。


「ねえ、ヴィヴィ」

「ぐふ?」

「今思ったんだけさ、ここのスライム、ガールズハンターって名前ついてるけど年齢制限とかあるのかな?」

「ぐふ?」

「例えば、年齢によっては女性にも擬似リバース?で襲ってくることあるのかな?ナックは女性を年齢で判断するよ」

「おいこらっ!そこで俺を例に出すな!」


 二人の話を聞きつけたナックがすかさず文句を言う。


「ぐふ。どうだろうな。あったとしても年齢を調べることができるとは思えん。姿でなら判断できるかもしれんがな」

「ああ、そうだね。ごめんナック。ナックは女性を姿で判断するんだった」

「だから俺を例に出すな!だがその通りだ!」


 ナックが女性陣の冷たい視線を浴びる。


「ぐふ。少なくともローズを“ガール”と判定したところを見ると“ガールズハンター”ではなく、“ウーメンハンター”と呼ぶべきと私は思うな」

「……言ってくれるじゃないかっ。この棺桶持ちがっ!」


 ローズがリオの頭を殴りつける。


「ん?」

「ぐふ?」


 リオとヴィヴィが少し首を傾げる。


「ほんと、アンタらはパーティメンバー全員ムカつくわっ!」


 ベルフィは話が逸れたこのチャンスを見逃さなかった。


「よし、ではガールズハンターを倒してプリミティブを集めるぞ!」

「「おーっ!」」


 ベルフィの掛け声にナックとカリスが続く。

 そのワザとらしいやり取りにローズとサラは呆れたが、これ以上揉めても何も得るものがないとわかっているので何も言わなかった。

 ちなみにベルフィ達に少し遅れてリオが「おー」と言ったが誰も聞いていなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ