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849話 正体がバレた!

 サンドクリーナー退治は当初、リオとヴィヴィの二人で行う予定であったがクズ、もとい、グレートヒーローズが自由の身となり絡んで来る可能性が高いためサラとアリスも参加することにした。

 あくまでも戦うのはリオとヴィヴィで二人は手出ししないという条件でだ。



 リオはリムーバルバインダーの中からポールアックスを取り出すと柄を伸ばして戦う準備を整える。

 エルエルはそれが魔道具であると一目で分かった。

 彼はてっきり魔法強化した弓矢でも取り出すとばかり思っていたので意外に思った。

 では遠距離攻撃はサラとアリスかと思いそちらに目を向けたが全く戦う準備をしていなかった。


「あれ?お前達準備はいいのか?」

「ええ。戦うのはリオとヴィヴィだけです。そういう約束なので」

「ですねっ」

「そ、そうか」

 

 ギルド職員の態度からリオ達が強いことはわかっていたが、まさか二人で戦うとは全く思っていなかったので驚きを隠せない。

 だが、彼らをもっと驚かせる行動をリオが起こす。

 リオがポールアックスを肩に担ぐとサンドクリーナーに向かって走り出したのだ。


「はあ!?マジかよ!?」


 エルエルは魔装士のヴィヴィがリムーバルバインダーでサンドクリーナーの注意を引かせ、その隙を狙ってリオが攻撃するものと思っていたのだ。

 だが、実際はどうだ。

 ヴィヴィはリムーバルバインダーを飛ばしていない。

 リオはなんの援護もなく真正面から接近戦を挑むという、サンドクリーナー退治をしたことがある者からしたら完全な悪手であった。


「これ作戦通りなのか!?」

「ええ。まあ」


 サラは少し困った顔をして答えた。

 エルエルにはどう見ても自殺行為にしか見えない。

 根がいい彼はリオに「戻ってこい!」と呼びかけるもリオは止まらない。

 サンドクリーナーはリオの接近に気づき、ずぼっと砂の中へ潜って姿を消した。


「ほれ見たことか!」


 しかし、エルエルの焦りとは対照的にデスサイズの面々は至って冷静であった。



 リオがいきなりポールアックスを構えて振り下ろした。

 何もないところにだ。

 空振りかに思われた瞬間、その真下からサンドクリーナーが飛び出してきた。

 サンドクリーナーはリオを足元からパクリと飲み込むつもりだったが、そのタイミングを読まれてポールアックスの斬撃をモロに受けることになった。

 弾力性があり、物理耐性が強い体も魔道具のポールアックスの前には無力だった。

 左右に切り裂かれ中の物が溢れ出る。

 それは内臓だけではなく、これまで食らって排泄されず蓄積されていたものも含まれていた。

 そんな状態でもサンドクリーナーはまだ息があった。

 ジタバタ暴れる力が弱くなりやがて動かなくなった。

 リオはそれを見届けるとくるりと踵を返した。

 こうしてリオとサンドクリーナーの戦いはあっさりと決着がついた。


「……あいつ、わざと自分を囮にしてサンドクリーナー呼び寄せやがったのか!?」

「そのようですね」

「狂ってやがる!一歩間違えば自分が死ぬんだぞ!」


(まあ、わからなくもないわね。いえ、彼の反応が普通なのでしょう)


 サラは自分の感覚がズレてきていることに気付き反省した。

 もちろん、デスサイズで反省したのはサラのみであった。

 別の探索者達が相手をしていたサンドクリーナーが倒れたのはその十分後であった。



 その様子をギルドルームにある魔道具、大望遠くん(見た目は二メートル四方の鏡)で見ていたグレートヒーローズは口を大きく開けあほ面晒して固まっていた。

 彼らはリオが一人突撃して行くのを見て腹を抱えて笑っていた。

 その笑いが収まらぬうちにリオがあっさりとサンドクリーナーを倒してしまったのだ。


「もう彼らには関わらない方が身のためですよ」


 ギルド職員の声で彼らは我に返る。

 魔装士のギルド警備員が続く。

 

「ぐふ、お前達とでは格が違うのだ。実力の差が分かったら大人しくしていろ」


 彼の顔は仮面で見えないが間違いなく見下した笑みを浮かべているであろうことがわかった。

 グレートヒーローズは怒りで顔を真っ赤に染めてギルド警備員を睨む。


「……ちっ!」


 リーダーが大きく舌打ちをしてギルドルームを出ていく。

 その後を慌ててメンバーが追った。

 リーダーが怒りを露わに叫ぶ。


「くそっ、俺らを格下扱いしやがって!俺らはCランク探索者だぞ!奴らより上なんだぞ!」

「そうだぜ!」

「Fランクの下っ端に見下されるのは我慢ならねえぜ!」

「なんとか俺らが奴らより上だとわからせる方法はねえか!?」


 考えるまでもない。

 Bランク以上の魔物を討伐すればいい。

 しかし、彼らはそんな簡単なことがすぐに思い浮かばなかった。

 彼らが根っからのクズだからである。

 クズという生き物は自分の評価を上げるのに結果を出すのではなく、相手を貶めて相対的に上げることに心血を注ぐのである!

 リーダーがクズり、と暗い笑みを浮かべる。


「おい、奴らの秘密を探ってこい!ギルド職員のあの態度。絶対に何か隠しているぞ。対策はそれからだ!」

「わかったぜ!」


 スカウトもクズり、と笑みを浮かべ調査に向かった。

 


 スカウトが彼らの部屋に戻ってきた。


「何か掴んだか?」


 リーダーの問いにスカウトは頷く。


「ああ!大変なことを知っちまったぜ!」

「なんだ言ってみろ」

「奴ら冒険者だ」

「そんなことたあ誰だって見当つくだろうが!」

「慌てんなって。こっからが本番だ。奴らのパーティ名だがよ」


 スカウトはそこで一呼吸おいてから言った。


「リサヴィだ」

「なんだと!?」


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